近年の地球規模の環境悪化を反映し、人文学においても自然と人間・文化の関係を文化論やテクスト解釈の観点から研究する「環境批評」が重要な研究分野となってきている。 本研究では、環境批評のなかから自然環境の物質性とその文化的認識に焦点をあてた21世紀の理論的潮流を考察し、そこで得られた知見から、自然環境の現代的意識が成立したロマン主義時代のテクストを分析した。環境思想や環境文学の原型となったロマン主義の文化テクストを先端的理論から解釈し直し、その現代的意義を再評価するとともに、環境批評理論を文化テクストや文化史解釈の武器としてさらに鍛えることを意図した。
|