本研究は、ラフカディオ・ハーンを代表とする、明治期の英米系ジャパノロジストによって英語で書かれた日本の童話・伝説などが、欧米ではオリエンタリズムの枠内での「異文化情報」や「異国情緒」として「消費」されてしまったのに対して、日本では、それらが「規範的」な英語教科書や翻訳によって読まれために、「伝統的」語りより上位におかれ、その西洋のナラティブの特徴と、オリエンタリズムに由来する異国情緒が、地方の古いの物語をいかに「現代」に蘇らせるかに腐心していた日本の民話・伝承の語り手たちに強い影響をおよぼし、近代日本の新たな伝統的物語の様式である「民話」の「語り」の創出に関与していたことを証明した。
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