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2015 年度 実施状況報告書

コンピュータによる『カンタベリー物語』諸写本と印刷本の計量的比較

研究課題

研究課題/領域番号 15K02304
研究機関広島大学

研究代表者

地村 彰之  広島大学, 文学研究科, 教授 (00131409)

研究分担者 中尾 佳行  広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10136153)
佐藤 健一  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (30284219)
川野 徳幸  広島大学, 平和科学研究センター, 教授 (30304463)
大野 英志  倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 准教授 (80299271)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードチョーサー / 『カンタベリー物語』 / コンピュータ / 写本 / 印刷本
研究実績の概要

本研究の目的は、ジェフリ・チョーサー写本と刊本の言語について、コンピュータを利用し、その英語の語彙・統語・文体を総合的に研究し、チョーサーのtextual criticismに貢献することにある。
本研究では、すでに成果を出したCaxton版『カンタベリー物語』[初版(c 1476)(Cx1)と第2版(c 1482)(Cx2)]に加えて、キャクストン以後の重要な印刷本であるPynson版(1492)とWynkyn de Worde版(1498)と他の写本やテクストとの間に生じた異同の問題を取り上げている。Hengwrt(ヘングウルト)写本とEllesmere(エルズミア)写本は『カンタベリー物語』の代表的写本であるが、印刷本としてはキャクストン版に次いで15世紀後期に作成されたPynson版(1492)とWynkyn de Worde版(1498)は印刷本として重要なものである。どのように英語の標準化の過程に大きく関わっているかについても研究の対象にしている。本研究は、今日までのテクストの伝達と継承の問題を考えるための基盤的研究である。
特に、今回はキャクストン版[初版(c 1476)(Cx1)と第2版(c 1482)(Cx2)]以後の重要な印刷本であるPynson版(1492)とWynkyn de Worde版(1498)のデータ入力を進めている。『カンタベリー物語』の代表的写本と初期印刷本と今日用いられている刊本とが容易に比較できるように、パソコン上でのテクスト処理法の第一段階に達したといえる。つまり、Henwrt写本、Ellesmere写本、Blake版、Benson版、Caxton版[初版(Cx1)]、Caxton版[第2版(Cx2)]、Pynson版、Wynkyn de Worde版を縦軸に並べて一目で共通点と相違点が把握できるデータの作成を始めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度はキャクストン版以後に出版されたPynson版とWynkyn de Worde版のデータ入力をすすめた。『カンタベリー物語』の代表的写本と初期印刷本と今日用いられている刊本とが容易に比較できるように、パソコン上でのテクスト処理法の第一段階に達したといえる。Hengwrt写本、Ellesmere写本、Blake版、Benson版、Caxton版[初版(Cx1)]、Caxton版[第2版(Cx2)]、Pynson版、Wynkyn de Worde版を縦軸に並べて一目で共通点と相違点が把握できるデータの作成を始めたからである。

今後の研究の推進方策

計量統計学の専門家である研究分担者の佐藤健一氏によって、各テキストを2次元上で分析(Cmdscale)したり、各テキストの距離をクラスター分析(hclust)する統計解析のノウハウを提供してもらっている。言語統計解析を加えることによって、今まで以上に客観的な分析を進めていくことになる。中尾佳行氏、川野徳幸氏、大野英志氏とともにデータ入力を行い、総合的に本研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

ピンソン版『カンタベリー物語』(1492)とドゥ・ウォード版『カンタベリー物語』(1498)のテクストについては、データベース化されたものがないため、入力を徐々に進めているものの、まだ入力するための経費とオリジナルな印刷本を直接自分の目で確認するための費用が必要とされているため。また、2016年7月に連合王国・ロンドンで開催される第20回新チョーサー協会国際大会での中間報告をする必要があるため。

次年度使用額の使用計画

ピンソン版『カンタベリー物語』(1492)とドゥ・ウォード版『カンタベリー物語』(1498)のテクストについては、データベース化を更に進めていくための経費として使用する。オリジナルな印刷本を直接自分の目で確認するための渡航費および資料収集費として使用する。2016年7月に連合王国・ロンドンで開催される第20回新チョーサー協会国際大会での中間報告をする必要があるための渡航費と研究発表費として使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Computer-assisted Textual Comparison among the Manuscripts and the Editions of The Canterbury Tales: With Special Reference to Caxton's Editions2016

    • 著者名/発表者名
      Akiyuki Jimura, Yoshiyuki Nakao, Noriyuki Kawano, Kenichi Satoh
    • 雑誌名

      中尾佳行御退職記念言葉で広がる知性と感性の世界-英語・英語教育の新地平を探る-

      巻: 1 ページ: 67,84

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 経時的に観測されたテキストデータに対する変化係数モデルに基づく統計的な分類方法と視覚化について2015

    • 著者名/発表者名
      和泉志津恵, 佐藤健一, 川野徳幸
    • 雑誌名

      計算機統計学

      巻: 28 ページ: 81,92

    • 査読あり
  • [学会発表] 英語研究と私2016

    • 著者名/発表者名
      地村彰之
    • 学会等名
      広島英語研究会
    • 発表場所
      広島大学文学研究科
    • 年月日
      2016-02-14
    • 招待講演
  • [学会発表] チョーサーの言語の身体性-「トパス卿の話」にみる<漸減化>の認知プロセス-2015

    • 著者名/発表者名
      中尾佳行
    • 学会等名
      日本英語学会第33回大会
    • 発表場所
      関西外国語大学
    • 年月日
      2015-11-22
    • 招待講演
  • [学会発表] チョーサーの感情表現 -herteを中心に-2015

    • 著者名/発表者名
      大野英志
    • 学会等名
      日本英文学会中国四国支部68回大会シンポジウム
    • 発表場所
      広島修道大学
    • 年月日
      2015-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 混合効果モデルを用いたセミパラメトリックな変化係数の推測について2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤健一
    • 学会等名
      2015年度 統計関連学会連合大会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-09-06
    • 招待講演
  • [図書] Language and Style in English Literature2016

    • 著者名/発表者名
      Ken Nakagawa, Akiyuki Jimura, Osamu Imahayashi (eds.)
    • 総ページ数
      230
    • 出版者
      Keisuisha
  • [図書] Variation between Personal and Impersonal Constructions in Geoffrey Chaucer: A Stylistic Approach2015

    • 著者名/発表者名
      Hideshi Ohno
    • 総ページ数
      199
    • 出版者
      University Education Press
  • [図書] 医療系のための統計入門2015

    • 著者名/発表者名
      藤井良宣, 佐藤健一, 冨田哲治, 和泉志津恵
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      実教出版

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公開日: 2017-01-06  

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