研究実績の概要 |
研究補助期間には、京都大学大学院科学史専修の聴講生として伊藤和行教授の指導の許、16・17世紀ヨーロッパの宇宙論、特にGalileo、Harriotとその周辺の研究を行った。同時に、従来続けてきた英詩、Donne、Chapman等について研究を重ね、英詩に現れた宇宙論の変遷を考察した。 最終年度は具体的に、(1)West Sussex Public Officeにて、Harriotの手稿のうち観測記録を読み終え、同時代天文学についての論を読み始めた。(2)Harriotが一員であったNorthumberland Circleが関心を向けていたLucretiusやBrunoの著作の研究会を続けた。前者は‘De Rerum Natura'の第2巻をほぼ終え、後者は‘La causa, principio et uno'の第5対話を精読・議論した。(3)伊藤教授とGalileo GalileiのDelle Macchie Solariの第1書簡の精読・検討を行った(4)Robert Burtonの死生観、世界観を表すThe Anatomy of Melancholy(Ⅲ. 1)を翻訳、『京都府立大学学術報告人文』に発表した。(5)Oxford、Londonの各図書館で新資料を調査、考察し、ロンドン大学のDr. Clucasとも議論を重ねた。またイタリア(Roma、Napoli、Nola)でBrunoに関わる場所を訪ね、資料を収集した。(6) John Donne Society(2月)とRenaissance Society of America(3月)の各学会に参加、議論に加わった。(7)17世紀英文学会東京支部で、Harriotの手稿とDonneの作品に基づいた17世紀初頭のコスモロジーについて発表(10月)、まとめた論文が『天野惠先生退職記念論文集』(3月)に掲載された。
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