研究課題/領域番号 |
15K02306
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
野末 紀之 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (70198597)
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研究分担者 |
高橋 章夫 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (10527724)
藤井 佳子 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (70379527)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 男性性 / 軍国主義 / 唯美主義 / 第一次世界大戦 / 筋肉的キリスト教 / パブリックスクール / 児童文学 / 墓碑銘 |
研究実績の概要 |
隔月に一度、代表者と分担者とで研究の進捗状況の確認を行なった。研究会は2016年9月と2017年3月に開催した。野末(代表者)は「騎士道と同性愛擁護―J・A・シモンズを中心に」と「キプリングの『園丁』」、藤井(分担者)は「キプリングの『Stalky & Co.』」、高橋(同)は「キプリングの『園丁』と帝国戦争墓地委員会」について発表し、議論により問題点を確認した。これらの研究会は、科研「後期ヴィクトリア朝イギリスにおけるファッションと消費のダイナミズム」研究会との共同開催で、そこでの議論は双方にとって有益であった。野末は論文「喪の作法―キプリングの『園丁』」で、戦争遺族や周囲の者たちの喪のあり方の表現に示唆されるアイロニーを指摘した。野末は昨年度海外出張のさい収集した資料が未整理であるため、今年度の海外出張は見送った。藤井は「コウルリッジの白い女」と「老水夫考」との関連、およびキプリングの「悪臭の幕間喜劇」における少年たちに暗示される性的暴力性に関する研究発表を行なった。藤井は2017年2月から3月、相模女子大学でReligious Tract Society 関連資料、とくにルボット・ペインズ・リードの小説にみる少年間の愛について調査した。高橋は論文「第一次世界大戦と現代のイギリスにおけるナショナリズム」において、近年の第一次世界大戦研究が現在のイギリスの政治家と国民にどのように受容されているのかを検証し、ブレグジットをめぐるナショナリズムとトランス・ナショナリズムとの鬩ぎあいを考察した。また帝国戦争墓地委員会と遺族との関係、およびキプリングの委員会での活動について二度の研究発表を行った。さらに高橋は前年度に引き続き、コモンウェルス戦争墓地委員会とインフランダーズフィールズミュージアムの文献センターを中心に、両大戦観のイギリスの軍国主義に関する資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者は、校務多忙および一身上の都合のため、進捗状況は十分とはいえないが、研究会での議論に刺戟され、論文一本を執筆。分担者は、資料調査および成果の公表について着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、他の科研との合同研究会の開催、関連分野の他の研究者を招聘しての研究会開催、各所属機関での研究成果の発表(口頭発表と論文化)を順次進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費は高橋と藤井が使用せず、旅費は野末と藤井が海外出張をしなかったため、かなり残った。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費は海外出張による資料調査に充て、物品費は必要に応じて消化する。
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