研究課題
基盤研究(C)
本研究では、人文学系の研究の中で近年注目されている「文化的記憶」という概念の分析ツールとしての役割を深く考察した。文化研究における記憶は未分化の部分が多い領域であるが、本研究では「記憶術と空間的布置」「記憶の物品と記念碑」「記念行事と集合的記憶」といった領域に分類した。その結果、「文学」および「歴史」、「儀式」といった領域を「記憶」という観点から、包括的に論じる手法を検証できた。
イギリス文化
本研究は「文学」および「歴史」、「儀式」といった領域を「記憶」という観点から包括的に論じる手法を検証した。たとえば移民を扱う文学作品に描かれる歴史的場面の働きを深く理解することができるようになっただけでなく、移民として英国に渡ってきた祖先を想起する記念式典でその作品が言及される意義についても詳細に考察することができた。その結果「文化的記憶」という概念の分析ツールとしての役割を深く考察できた。本研究の成果はイギリスに限らず、今後の日本における記憶の文化を研究する際にも応用できるだろう。