18世紀に商業化した文化がハーバーマス流の理想的ブルジョワ公共圏にどのような影響を与えているのかを解明するため、一般には娯楽、余興として受け入れられてきた、いわゆる「低級な」文化が、当時の舞台、雑誌、文学、絵画、演劇において、どのように販売されてきたのか、またこの種の商業文化に「公衆」がいかに接していったのかを検討した。この研究により、文化の商品化と消費空間の誕生が、文学という独自のジャンルを生み出すとともに、経済学という学問の誕生を可能にしたことが解明された。さらに宗教と科学的自然理解とが複雑に絡み合い、消費空間においてジェンダー、セクシュアリティの差異が重要になったことも明らかになった。
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