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2015 年度 実施状況報告書

王政復古期演劇と政体の危機

研究課題

研究課題/領域番号 15K02316
研究機関専修大学

研究代表者

末廣 幹  専修大学, 文学部, 教授 (70264570)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード初期近代 / 王政復古期 / 演劇 / 政治 / 党派
研究実績の概要

平成27年度は、王政復古期の1660年代から1678年までに上演された演劇について、1640年代の内乱、共和国やオリヴァー・クロムウェルによる護国卿体制をどのように直接、間接に表象したのかを検討した。具体的には、時系列に沿ってその日に上演された興業の情報を記しているThe London Stage, 1660-1800に従って、日々上演された芝居を精読しながら、そこに書き込まれた政治的表象を分析した。とくに注目したのは、1642年以前に上演された芝居の改作や再演、王政復古期になってからのレパートリーの再演である。旧作と新作の組み合わせによってどのように新たな政治的含意が現出したのか考察した。
さらに、1678年におけるタイタス・オーツの教皇主義陰謀事件以降、王位継承排除危機が進行していく中で、演劇が、1640年代の内乱の表象のヴォキャブラリーを再利用し、ときに新たなイメージを創造することで、この政体の危機に介入しようとしたのかを分析した。この時代については、Susan J. OwenのRestoration Theatre and Crisis (1996)やRichard Bravermanの Plots and Counterplots: Sexual Politics and the Body Politics in English Literature, 1660-1730のような優れた先行研究があるが、従来は、特定の芝居について、トーリーあるいはホイッグのイデオロギーのプロパガンダもしくはその諷刺とみなすことで、政治的危機の演劇的表象の意味を単純化しがちであった。そこで、本研究では、演劇的テクストの中に、党派性への偏重の批判や、さらにはトーリーとホイッグのイデオロギーのいずれの諷刺にも解釈される得る重層性を読み取ろうとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

公務のために、国内及び国外の調査に行けなかったために、王政復古期の図版などの視覚的資料が揃っておらず、演劇テクストと視覚的資料を関係づけた上で、王政復古期演劇と政治の関係を考察するまでには至っていないため。

今後の研究の推進方策

平成28年度以降は、国内及び国外の調査を積極的に行い、演劇テクストと視覚的資料の関連についての比較検討を深めたい。

次年度使用額が生じた理由

公務のために、当初予定していた国内外の調査旅行を行えなかったため。
さらに、購入を予定していた資料の刊行が先延ばしになったために、資料の購入が予定額に達しなかったため。

次年度使用額の使用計画

今年度は、社会史、文化史関連の一次資料(同時代の社会、文化、風俗等に言及する、パンフレット、論文など)と王政復古期演劇テクストを広く購入し、研究環境を整える。
昨年度は、行えなかった国内外の調査出張を行い、王政復古期の視覚的資料の調査を行う。

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公開日: 2017-01-06  

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