研究課題
基盤研究(C)
シェイクスピアの正典化(canonization)が進み、神格化された詩人像への信仰(Bardolatory)が本文編纂に多大な影響を及ぼすようになった18世紀の時代における上演や批評、そしてその背景にある文化的風潮の特殊性についての調査を行った。また、シェイクスピアの正典化が起こる以前(すなわち初演から17世紀の時代)に彼の作品はロンドンの観客や読者にどのように受け止められ、どのような意義付けがなされていたのかを解明してゆく独自の方法論を模索してそれを確立した。
英米文学
18世紀という時代は英文学という学問の創成期でもある。つまり、英文学という学問の発展はシェイクスピアがイギリスの国民的詩人として神格化され、礼賛を受けるようになった現象と無関係ではない。教育制度としての「英文学」がその役割を終えようとしている21世紀の現代において、過去においてシェイクスピア作品が正典化した所以について探究することは、学問としての英文学の意義とシェイクスピアの真価について問い直すきっかけを広く社会に示すことである。