『ロビンソン・クルーソー』(1719-20年)の日本における受容史の研究には一定の蓄積があるものの、子ども向けに再話されたテクストやその出版については研究が進んでいなかったので、本研究は、日本での「翻訳児童文学」としてのこの作品の受容に着目した。 その結果、明治以来の日本の近代児童文学とその出版というコンテクストのなかで、『赤い鳥』や『少年倶楽部』などに発表された翻訳物語と同じような文体的な特徴やイデオロギーにもとづく再話がなされていることが分かった。また日本の英語教育のなかでもこの作品がさまざまに書き直されて用いられてきたことも明らかになった。
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