研究課題/領域番号 |
15K02323
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
冨樫 剛 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (30326095)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イギリス / 16世紀 / 17世紀 / 詩 / 古典 / カルペ・ディエム / ホラティウス / ミルトン |
研究実績の概要 |
16世紀から17世紀にかけてイギリスで書かれた、あるいは翻訳された詩(一次資料)およびそれらに関する二次資料の収集・精読・整理を開始した。特に17世紀におけるホラティウスの受容について、「カルペ・ディエム」(carpe diem)および「ベアトゥス・イッレ」(beatus ille: 幸せな人)の主題を中心に研究が進展した(以上、平成27年度交付申請書「研究実施計画」中の1に対応)。 16-17世紀イギリス政治・社会・宗教史資料の収集を開始した(同2-3)。 以上および関連する調査をまとめ、2015年12月に開催された日本ミルトン協会第6回研究大会のシンポジウム『"Overturn, overturn, overturn"--Paradise Lostをひっくり返す--』において「Paradise Lostはキリスト教叙事詩か」として発表した(同4)。 平成27年度交付申請書における研究実施計画の5にあげた論集への寄稿依頼については、その話が止まっているため執筆を見あわせている。 2016年6月におこなわれる日本英文学会関東支部夏大会シンポジウム「イギリス・アメリカ文学史補遺--英米文学史のなかの非英米文学--」における発表および司会担当が決まったため、その準備を開始した。 以上の調査・研究のなかで作成したイギリス詩諸作品の日本語訳をブログサイト『English Poetry in Japanese--英語の詩を日本語で--』(http://blog.goo.ne.jp/gtgsh)において公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
17世紀におけるホラティウスの受容については調査・研究が順調に進んでいる。16世紀イギリスの文化的土壌についてはセネカの著作の影響を、16-17世紀についてはホラティウスのオード・エポードのみならず諷刺・書簡の影響を、それぞれ視野に入れる必要が新しく見えてきた。 16世紀イギリス政治・社会・宗教史については若干遅れ気味である。 17世紀については、ミルトンの『失楽園』に16世紀来のギリシャ・ローマ古典翻訳・翻案の諸影響を見る議論、およびこの詩の中心的主題であるキリスト教の原罪表象のなかに異教的なカルペ・ディエムの要素を見る議論の可能性が具体的に見えてきた。
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今後の研究の推進方策 |
1. 16-17世紀イギリス文学・政治・社会・宗教史資料の収集を継続し、これらを用いて調査を進め、以下の学会発表に向けて論考を準備する。 2. 2016年6月の日本英文学会関東支部夏大会シンポジウム「イギリス・アメリカ文学史補遺--英米文学史のなかの非英米文学--」において、16-17世紀イギリスにおける「カルペ・ディエム」の主題の受容・発展の過程について、また特に17世紀におけるホラティウス翻訳・翻案者としてのロバート・へリックの仕事について発表をおこなう。 3. 例年10月中旬におこなわれるBritish Milton Seminarの今年度の秋例会においてカルペ・ディエムの主題とミルトンの関係について発表する(日程未定、今後発表者募集があるので、そこに応募する)。 4. 2017/3/30-4/1にシカゴでおこなわれるRenaissance Society of Americaの大会において、カルペ・ディエムの主題とアンドルー・マーヴェルの関係について発表する(5月末締め切りの発表募集に応募する)。 5. 以上の調査・研究のなかで作成するイギリス詩諸作品の日本語訳をブログサイト『English Poetry in Japanese--英語の詩を日本語で--』(http://blog.goo.ne.jp/gtgsh)において随時公開する。
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備考 |
科研費を使用していない研究成果を含む。
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