本研究は、アフリカ系アメリカ文学に起きた時空間パラダイムシフトを検証するものである。十六世紀以降、標準的な地図投影法となるメルカトル図法は一九四〇年代アメリカでその伝統的なナラティブの力を急速に失う。それに取って代わったのが、北極点を中心に置いた正距方位図法によるリチャード・エデス・ハリソンの「ひとつの世界、ひとつの戦争」に代表される新しい地球の姿である。本研究は、この変容する時空間--「航空時代のグローバリズム」--を移動した先駆的なグローブ・トロッターであるウォルター・ホワイトとイーディス・サンプソンによる航空旅行を分析し、「ブラック・グローバル・イマジナリー」の形成を解明した。
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