アイルランドの詩人・劇作家・神秘家であるW. B. イェイツの後期舞踏劇における表象構造の展開を、アイルランドのフォークロア及び日本の能狂言との関わりから分析した。『三月の満月』では、「切断された首」の表象と能の謡に通じる楽師たちの声の使い方について考察した。『復活』については、キリスト教の新作能、新作狂言との比較を行い、『復活』が能より狂言の形式に近づき、この劇作における「笑い」がダイモーンの出現という奇跡と結びついているとした。 イェイツと能狂言の発展研究として、狂言「不聞座頭」をフェノロサが英訳した原稿の分析を行い、またイェイツの『自伝』における記述法について能の技法の観点から考察した。
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