• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

アジア系アメリカ文学研究のポスト・グローバリズム的展開と多極的研究体制の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K02339
研究機関神戸大学

研究代表者

山本 秀行  神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90230581)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードハイブリディティ / トランスボーダー / トランスナショナル / ポスト・グローバリズム
研究実績の概要

平成29年度は、黄色人種(日系・中国系)とその他の人種(白人)の「ハイブリディティ」や、多文化主義を超える概念としてインド系の学者Vijay Prashadが提唱した「ポリカルチュラリズム」に基づく、Dan KwongやKip Fulbeckなどのアジア系アメリカ人の文学(特に演劇)に見られる、国家的・文化的「領域横断性」の解明を試みた。前々年および前年度と同じく、国内で入手できる文献等は購入ないしは大学図書館相互貸借システムなどを使うなどして、アジア系アメリカ文学および「ポスト・グローバリズム」関係文献の収集を行い、国内で入手不可能な文献等に関しては、U of Hawaiiの図書館やEast West Centerの資料室に赴き入手した(2018年2月)。また、パフォーマンスアーティストDan Kwongとのインタビューも行った(2018年3月)。さらに、そうして入手した文献を詳細なテクスト研究により分析した上で、その「領域横断性」については、国内の本分野および関連分野の研究者Brian Locke(東京大学助教)の協力を得たほか(2017年9月)、Ching Chih Wang(国立台北大学准教授)とChun Fu(国立宜蘭大学准教授)など台湾の研究協力者との間に構築された研究ネットワークにより共同研究を進めるなどして、多角的かつ多極的に研究を展開してすることができた。研究成果については、アジア系アメリカ文学研究会フォーラム(2017年9月)、日本フォークナー協会年次大会シンポジウム(2017年10月)、アジア系アメリカ文学研究会例会(2018年1月)、神戸大学ホノルル拠点第二回シンポジウム(2018年2月)等において研究発表等を行なった。その成果を、AALA Journal(2017年12月)や『フォークナー研究』(2018年6月出版予定)に論文として公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は、過去二年間に開発した「ポスト・グローバリズム」的パースペクティヴに基づく研究法を本研究に本格的に適用していくことができた。特に、当初の研究計画以上にアジア系アメリカ文学という枠組を超えるトランスボーダーな研究を進めることができた。たとえば、日本フォークナー協会年次大会シンポジウム「フォークナーとアジア系アメリカ文学」(2018年10月、鹿児島大学)におけるシンポジストとして、アジア系アメリカ文学とフォークナーとの間の時空を超えた繋がりについての発表を行った他、申請者が拠点長を務める神戸大学国際連携推進本部ハワイ拠点における第二回国際シンポジウム(2018年2月)において、ワシントン大学のStephen Sumida氏の協力を得て(当初、参加予定であったが急病のため、申請者が発表原稿代読)、トランスボーター日系文学としてのハワイ文学について考察を進め、アジア系アメリカ研究会例会(2018年1月、神戸大学)では台湾から二名を招き、Kazuo Ishiguroを中心としたアジア系英米文学という包含的枠組での研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

今後は、過去三年間に開発した「ポスト・グローバリズム」的パースペクティヴに基づく研究法を本研究に本格的に適用した結果を、成果として纏め、そして、その成果については、科研プロジェクト研究会などを通して発表するとともに、招へいした専門家に依頼して研究結果の検証を行う。また、申請者が代表を務めるアジア系アメリカ文学研究会を中心に構築した研究ネットワークを国内では関係する他学会・研究会とも協同するほか、国外では、アメリカおよび台湾を中心にしてさらに拡張し強化していきたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [国際共同研究] 国立台北大学/国立宜蘭大学(台湾)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      国立台北大学/国立宜蘭大学
  • [雑誌論文] クロスメディア・アーティストとしてのサム・シェパード2018

    • 著者名/発表者名
      山本 秀行
    • 雑誌名

      アメリカ演劇

      巻: 28・29 ページ: 1-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kip FulbeckのHapaとしてのアイデンティティ・ポリティクスとアート2017

    • 著者名/発表者名
      山本 秀行
    • 雑誌名

      AALA Journal

      巻: 23 ページ: 1-11

    • 査読あり
  • [学会発表] Nagasaki as Kazuo Ishiguro’s Imaginary Home2018

    • 著者名/発表者名
      Hideyuki Yamamoto
    • 学会等名
      第131回アジア系アメリカ文学会例会
  • [学会発表] Kip Fulbeckのhapaとしてのアイデンティティ・ポリティクスとアート2017

    • 著者名/発表者名
      山本 秀行
    • 学会等名
      第25回AALAフォーラム(アジア系アメリカ文学研究会)
    • 招待講演
  • [学会発表] “A Rose for Emily” を貫く“deep time”―アジア系アメリカ文学へと連なる時空を超越した繋がりを読み解く2017

    • 著者名/発表者名
      山本 秀行
    • 学会等名
      第20回日本フォークナー協会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] アジア系アメリカ文学・演劇とマスキュリニティ(男性性)2017

    • 著者名/発表者名
      山本 秀行
    • 学会等名
      津田塾大学アメリカ文学女性像研究会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-22  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi