研究課題/領域番号 |
15K02340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新田 玲子 広島大学, 文学研究科, 名誉教授 (40180674)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アメリカ文学 / 現代アメリカ文学 / 戦争文学 / 平和文学 / ポストモダニズム / 第二次世界大戦 / ホロコースト |
研究成果の概要 |
第二次世界大戦に参加したアメリカの若者たちは戦争の愚かさをそれまで以上に強く意識していた。従って彼らの作品はそれまでと異なり、英雄的な性格がまったくなく、戦争の愚かさ・虚しさを強調する。さらに第二次世界大戦後の作家は、戦争を題材にすること自体が新たな戦争を引き起こす危険も、戦後生まれの平和な世代には戦争の暗い現実が敬遠されることも強く意識していた。そのため、彼らは戦争の実態を直接描き出す戦争作品から、平和な世界を舞台に、未来において戦争や争いを引き起こさないための行動の仕方を考えさせる、新たな平和文学へとシフトしてゆく。本研究はそうした文学的戦略の変化を細かく分析したものである。
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自由記述の分野 |
現代アメリカ文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、アメリカ文学における戦争を直接題材にしない作品が実は戦争と深く関わっているという、新たな読みを提示したに留まらない。本研究は、戦後75年が過ぎ、戦争を知らない世代がほとんどになりつつある日本において、戦争経験を単に直接語るだけでは不十分であることを知らしめ、どうすれば戦争に関心が持てない若い世代に戦争について考えてもらえるか、特殊な経験である戦争に憧れを抱かせることなく戦争の実態を伝えられるか、そして今よりも平和で豊かな社会を未来にわたって築き上げてゆくにはどうすればよいかを考えるうえで、非常に役立つ指標となるものである。
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