平成29年度の研究計画は、単著書『野生の詩学』の一章として『コッド岬』論を執筆し刊行することであり、さらにソローの生誕200年を記念したシンポジウムを日本英文学会九州支部大会において企画することであった。ソロー生誕200年記念シンポジウムに関しては、「ソローの影響力」(日本英文学会九州支部大会シンポジウム)を行ったが、『コッド岬』論を含めた単著『野生の詩学』については現在鋭意執筆中である。 29年度は本研究課題の最終年度にあたり研究成果を総括すると、27年度に2冊の共編著『身体と情動―アフェクトで読むアメリカン・ルネサンス』(彩流社、2016)、『ジョン・ブラウンの屍を越えてー南北戦争とその時代』(金星堂、2016))を刊行したことで一定の成果が上げられたと考える。特に前者に収録した論文ではAmasa Delanoの航海記 Delano’s Voyage of Commerce and Discovery (1817)を深く参照した。関連した研究成果には、「背後の自然―『ウォールデン』再読」(『英語英文学論叢』2017年)、「異種混交の寓話―ゲーリー・スナイダーにおける野生の詩学」『英語英文学論叢』2018年)がある。 研究発表としては、「エマソンの書き換えー弔辞「ソロー」における思想の訣別」(九州アメリカ文学会、2016年5月7日)、「野生の文化論―ソローからレヴィ=ストロースへ」(招待発表)(日本英文学会九州支部大会、2016年10月23日)、および「ソローの影響力」(司会・研究発表)(日本英文学会九州支部大会シンポジウム、2017年10月21日)という3件の成果がある。.さらに海外研修として、ハーヴァード大学のワイドナー図書館(27年度、29年度)、およびカリフォルニア大学デーヴィス校シールズ図書館(28年度、29年度)において調査・資料収集を行った。
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