研究課題/領域番号 |
15K02343
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡本 太助 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (90523176)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ演劇 / 批評理論 / パフォーマンス研究 / 受容理論 / アフェクト理論 / 演劇史 / ボーダー研究 |
研究実績の概要 |
本課題の交付申請書の記載事項に基づき、昨年度に続いてアメリカ演劇および批評理論関係の文献の収集と精査を行った。今回は特にラティーノ/チカーノ演劇関連の研究書および作品の収集と分析を重点的に行い、アメリカ演劇の「中心」と「周縁」をめぐる言説を批判的に再検討した。この方向性を次年度も推し進め、「アメリカ演劇とは何か」という定義の問題との関わりにおいて、新たな演劇理論の構築に向けた研究を継続する予定である。 研究活動の主な内容としては、現代アメリカ演劇の重要作家であるサム・シェパードについて、パフォーマンスおよび構造的因果性(ルイ・アルチュセール)の観点から分析を行った前年度の研究発表を元に論文を執筆したが、掲載予定誌の編集作業の都合により掲載誌の出版そのものが見送られた。同論文は、別の雑誌・紀要等での発表を計画している。 また、日本アメリカ演劇学会の年次大会において、アルゼンチン出身、カナダ在住の劇作家ギレルモ・ヴェルデッキアについて、「ボーダー」をめぐる政治的・文化的言説および周縁におけるアメリカ演劇の生成という観点から研究発表を行った。同研究は次号の『アメリカ演劇』への掲載を目指し、論文として投稿する予定である。 その他、日本アメリカ演劇学会幹事および同学会機関誌『アメリカ演劇』編集委員として、研究プログラムの企画・実施に携わり、自身の研究に加えて、日本におけるアメリカ演劇研究の発展とレベルの向上に貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文発表の機会を逸するというトラブルに見舞われたものの、研究そのものは着実に進行しており、上記論文などの実施されなかった活動については、本年度以降に実施する具体的な計画がある。現在までの主な活動内容である文献の収集および精査に関しても、必須と言える文献についてはほぼ順調に入手し、適宜内容を精査・整理することができている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、主に演劇の研究方法についての調査を行う。10月の日本アメリカ演劇学会全国大会では、司会兼講師として、演劇研究の諸相についてのシンポジウムを開催する。また8月の日本アメリカ演劇学会年次大会では、ウィリアム・フォークナーの劇作に関するシンポジウムの司会兼講師として、同作家を専門とする研究者とともに、新たな演劇研究の可能性について討議を行う。さらに、5月の九州アメリカ文学会大会において、18世紀・19世紀アメリカ演劇におけるホームランド表象に関する発表を行う。 また、ギレルモ・ヴェルデッキアに関する論文を1本、サム・シェパードに関する論文を1本、さらにスーザン=ロリ・パークスに関する論文1本ないし2本を、各学会誌および学内紀要に投稿する予定である。 これに加え、現在依頼を受け執筆中のアメリカ演劇の概説を含む書籍が、本年度中に刊行される予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、基盤研究(B)(一般)「「ホームランド」の政治学――アメリカ文学における帰属と越境の力学に関する研究」(課題番号:16H03395、研究代表者:小谷耕二)の研究分担者となったため、文献購入など経費の一部が同研究に対する補助金からの支出となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には、学会でのシンポジウムへの講師招聘に係る旅費・謝金の支出が見込まれる。また、NAFTAやメキシコとアメリカ合衆国との国境をめぐる政策に関連する演劇におけるボーダー表象研究の一環として、海外(アメリカ合衆国)での現地調査を予定している。
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