2018年10月6日に立命館大学で行われた黒人研究学会の例会にて「20世紀初頭南アフリカ文学における戦争・モダニズム的世界観・国家意識」という題目で発表し、19世紀後半のケープ植民地で人種的平等を保証する近代国民国家的制度を経験したOlive SchreinerとSol Plaatjeが「近代国民国家を希求する植民地主体」として、20世紀に南アがアパルトヘイトへの道を進む「モダニスト的状況」に抗して、それぞれの立場からその想定する「英国のリベラルな読者」に向けて、ボーア戦争や第一次世界大戦を経て表現した「国家意識」の変遷を論じた。2019年2月に作品社から刊行した『国民国家と文学』に収められた「国民国家を希求する人びと」では、Plaatjeの少し後の世代のH. I. E. Dhlomoを扱い、アパルトヘイト体制で「二級市民」に貶められ民衆から分断されたアフリカ人知識人の国家意識の変遷を、汎アフリカ主義やマルクス主義と関連させて論じた。さらに、2019年3月に刊行された『東京女子大学英米文学評論』65巻の論文 "Reimagining South African Modernity through the World War in Sol Plaatje's Native Life in South Africa"においては、Plaatjeが第一次世界大戦中に、南アの原住民土地法に苦しむアフリカ人同胞の苦しみを訴えた書において、いかに第一次世界大戦の描写が、彼がボーア戦争で経験した「伝統的共同体の破壊を前提とした「自由で平等な」近代国家の形」を再現しているかを論じた。また2019年9月12-14日に青山学院大学で開催される国際学会Modernist Studies in Asia 2019 Tokyo Conferenceで "Reimagining Modernity in the Battlefield: Multiple Temporalities in Sol Plaatje's Mhudi"というタイトルで発表が確定している。
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