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2017 年度 実績報告書

英語圏カリブ・アフリカ文学の監獄と移動(不)可能性

研究課題

研究課題/領域番号 15K02352
研究機関東京理科大学

研究代表者

吉田 裕  東京理科大学, 工学部教養, 講師 (20734958)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード監獄 / カリブ文学 / 群衆 / 人種化 / 冷戦 / 脱植民地化 / 米軍占領 / 文化
研究実績の概要

本研究は、英語圏カリブ・アフリカ地域の監獄文学の代表的なものをいくつか取り上げ、比較検討し、それらが脱植民地化の過程においてどのような意義を持っていたのかを明らかにするということを当初の目標としていた。結果としては、アフリカの監獄文学については十分な調査、執筆をすることができなかった。一方で、カリブ文学に関しては、当初の予定通り、一定の結果をおさめることができた。
例えば、2018年2月刊行の雑誌『多様体』にて、ジョージ・ラミングの初期作品およびエッセイの翻訳を、また、第三作目『成熟と無垢について』についての論考を掲載した。また、『年報カルチュラル・スタディーズ』第6号にて(2018年6月刊行予定)、ジョージ・ラミングと合衆国の作家リチャード・ライトを比較する論文を掲載することになっている。その他、本研究の主軸とはずれるが、2016年には、英文学者中野好夫が沖縄の「本土復帰」にあたって社会運動に関わった軌跡を批判的に論じたものを、『年報カルチュラル・スタディーズ』第4号に掲載した。
その他、重要な成果としては、C・L・R・ジェームズがニューヨークのエリス島に収監されているあいだに執筆したハーマン・メルヴィルをめぐって、論文を書いたが、現在のところまだ出版は決まっていない。この論文については、執筆過程で、コーネル大にて発表(2016年)、そして、関連した報告を台北(2017年10月)、トロント(2018年2月)にて行った。いずれも、今後の研究に必要なネットワーク作りとして重要であった。
今後は、これらの成果の執筆過程で向き合わねばならない問題として出てきた、冷戦期の文学(特に、カリブと東アジア)を、米軍占領期を共通項として比較するという作業にとりかかることになる。とはいえ、監獄と文学の関係性を脱植民地化の過程でのその意義を問い直しながら考えるということは継続していきたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 人種と文化をめぐる冷戦  第一回黒人作家芸術家会議のリチャード・ライトとジョージ・ラミングを中心に2018

    • 著者名/発表者名
      吉田裕
    • 雑誌名

      『年報カルチュラル・スタディーズ』

      巻: 6 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 群衆、あるいは脱植民地化の不確かな形象2018

    • 著者名/発表者名
      吉田裕
    • 雑誌名

      多様体

      巻: 1 ページ: 157-177

  • [雑誌論文] 黒人作家とその世界2018

    • 著者名/発表者名
      ジョージ・ラミング(吉田裕訳)
    • 雑誌名

      多様体

      巻: 1 ページ: 129-143

  • [雑誌論文] 私の肌の砦のなかで 第一章2018

    • 著者名/発表者名
      ジョージ・ラミング(吉田裕訳)
    • 雑誌名

      多様体

      巻: 1 ページ: 145-155

  • [学会発表] The U.S. Military Base and the Configuration of Race: The Lonely Londoners and Mariners, Renegades, and Castaways as the Cold War literature2018

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 学会等名
      42nd Annual Conference of the Society for Caribbean Studies, UK
    • 国際学会
  • [学会発表] Sea as Governmentality: East Asian Traces of the Cold-War Militarization and Racialization in Early-1950s Caribbean Literature2018

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 学会等名
      The Ocean and the Sea, The University of Toronto’s Center for Comparative Literature’s 28th Annual Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Producing the Cold War, translating ‘anti-Americanism’: the literary in the East Asia, Trinidad, and Okinawa under the U.S. military occupation.2017

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Yoshida
    • 学会等名
      Global and Singular Asias: Theory and Practice
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 「ネーションと文学」2018

    • 著者名/発表者名
      庄司宏子編
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      作品社

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公開日: 2018-12-17  

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