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2015 年度 実施状況報告書

初期米文学におけるDutch認識の成立と展開:多様性の起源としてのピューリタン

研究課題

研究課題/領域番号 15K02353
研究機関東京理科大学

研究代表者

佐藤 憲一  東京理科大学, 理工学部, 講師 (80548355)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードピューリタン / 初期アメリカ文学 / ニューヨーク / ニューイングランド
研究実績の概要

本研究は、目下、ニューイングランドのピューリタンによってその政体の内部に取り込まれたDutchの他者性が、英領アメリカ植民地の、そして、最終的にはアメリカ合衆国の多様性の象徴として積極的に読み替えられてゆくプロセスに関して、次のふたつの段階に分けて調査研究を行っている。
第一段階として、ニューイングランドのピューリタンが他者としてのDutchをどのように認識し、かつ、分節化してゆくかについての調査研究を遂行している。今年度は一次資料の検討により、ピューリタンによるDutch 認識には一定の時代的かつ地域的な典型性があることが明らかになった。
次に、第二段階として、ニューアムステルダムがその名をニューヨークと改め、ニューイングランドが主導する英領植民地に組み込まれる1664 年以降、Dutch の他者性がその存在意義に昇華してゆくプロセスについての調査研究を行っている。この点については、①英領植民地の内部に取り込まれた後、Dutch の他者性はかえって一枚岩化してゆくということ、および、②Dutch identity が声高に主張されるときには、常にその対抗軸として支配勢力たるニューイングランドが措定されていた、という2点が明らかになっている。以上2点を中心に、本研究は、17 世紀後半から独立前夜にいたるまでの間、主にニューヨークに居住するDutch の間に流通した、英語で書かれた雑誌や冊子のテクスト、および、主にニューイングランドに居住するピューリタンの手になる日記類の中に見られるDutchidentity をめぐる言説を比較検討しながら浮き彫りにしている途上である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アメリカ議会図書館における電子資料の充実により、一次資料へのアクセスが容易になったため、2次文献の調査・読解に割く時間が十分に確保できたため。また、学会を通じて同分野の研究者からの助言を多く得ることもでき、研究遂行の大きな原動力となっている。

今後の研究の推進方策

原則として本年度までの作業を継続するが、Dutch Identityの構築については、従来視野に入れてこなかった分離派ピューリタンのオランダでの活動とそのニューイングランドピューリタンへの影響も考慮する必要が生じてきたので、時間的余裕を鑑み、適宜対処することとしたい。

次年度使用額が生じた理由

当初計画では現地出張での調査を予定していた米議会図書館の一次資料の一部が電子資料として公開されたため、出張を取りやめた。

次年度使用額の使用計画

Web上に公開されている資料を精査し、必要に応じて出張計画を練り直すものとする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Enlightening the Blind: Ormond; or, The Secret Witnessthe Representation of Cataract Surgery in the Early Republic2016

    • 著者名/発表者名
      Kenichi SATO
    • 雑誌名

      Trans-Humanities

      巻: Vol. 9 No. 1 ページ: 85-103

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 語源学的転回:Moby-Dick; or, The Whaleはなぜ “Etymology”で始まるか2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤憲一
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会第54回全国大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2015-10-10
  • [図書] 異文化理解とパフォーマンス2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤憲一 松田幸子 金牡蘭 笹山敬輔 浜名恵美
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      春秋社

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公開日: 2017-01-06  

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