研究実績の概要 |
本研究は1940年代から50年代の第二次世界大戦から冷戦初期に書かれたアメリカの作家の文学作品とアクティビズムを分析する。戦争と冷戦を通じて急速にグローバル化してゆくアメリカ社会のなかで、人種とジェンダーという問題をナショナルでインターナショナルな視点から見直した作家の作品とアクティビズムを、これまで取り上げられることが少なかったアフリカ系そして白人女性作家も含めて多面的でハイブリッドな視点から検証することが、本研究の目的である。 この研究目的を踏まえ平成28年度は、これまで行ってきたWilliam Faulknerなどのリベラル系男性作家やアフリカ系の女性作家の第一次資料の収集、精読、 分析を行いつつ、リリアン・スミスらの白人女性作家の作品の分析を行った。またこれらの作家のジャーナリストや編集者としての経歴をもつことから、当時のメディアとの関連性の中で考察することで、より多角的な文学作品とそのアクティビズムについて考察を試みた。 研究成果としては、共著『ノンフィクションの英米文学』において、「文学とアクティビズムの融合-『夢を殺す人々』の現代性」と題したLillian Smithの作品とアクティビズムに関する論考を発表した。また、2018年8月にカナダのバンクバーで開催された、2018 Conference of the International Fderation for Research on Women's HIstory: Transnationalism, Transgression, Translation at Simon Frazer Universtyにおいて、戦中から戦後のアメリカメディアとジェンダーに関する発表を行った。さらに2019年3月には,ニューヨーク公立図書館にてアメリカのアフリカ系と白人女性作家に関する調査と資料収集を行った。
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