研究課題/領域番号 |
15K02355
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
三神 和子 日本女子大学, 文学部, 教授 (90134171)
|
研究分担者 |
有満 保江 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20097075)
大場 久恵 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20409270)
加藤 めぐみ 明星大学, 人文学部, 教授 (30247168)
|
研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
キーワード | ディアスポラ / オーストラリア / ニュージーランド / 文学作品 / J.M. Coetzee / Richard Franagann / Rosa Pread / Kathrine Mansfield |
研究実績の概要 |
[ディアスポラ」と呼ばれる人々の作り出す文学の可能性を探るために、英国の元植民地であったオーストラリア及びニュージーランドに焦点をあて、これらの国のディアスポラについて考察するため、両国のディアスポラと考えられる作家たちが生み出した文学作品(おもにJ.M. Coetzee, Richard Franagann, Rosa Pread, Kathrine Mansfieldの作品)に関して考察し、論考にまとめ、学会誌(『南半球評論』、本『文芸礼賛』(分担執筆)、(大阪教育出版社)、学会(バロセロナ大学)などで発表した。 また、「ディアスポラ」という概念について、文学作品や参考書を読み、特質について考察した。その時のキー・ワードは、「中心/周縁」、「主体、アイデンティティー/他者」、「同化/共存」、「実存/幻想」、「帰属意識/個の孤立」などであり、それらが、対立するばかりでなく、同時にその二元論が揺らぎ、逸脱しはじめていることを認識した。 全体をとらえる広い視野を獲得するため、オーストラリア・、ニュージーランドの他の作家(Patricia White, Janet Frame, Patric White、Kate Granvilleなど)の作品を読み、また、オーストラリアの同化政策を批判的に扱った扱った映画などを見て、ディアスポラについて考察した。 オーストラリアの入植期の先住民と植民者の衝突に関する秘められた歴史に光を当てた作品(『闇の河』、2005)を描いたオーストラリアの国民的作家Kate Granville の来日に際しての講演を聞き、歴史に新しい解釈を与えようとする文学の可能性について考察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度分は10月に採択され、夏休みという本務校の任務から解放された比較的自由に使用できる時間に余裕をもって資料収をしたり、資料を読むことができなかった。しかしながら、自分たちの研究テーマとして採択以前から研究を続けてきたこともあり、その考察結果を論文にまとめ口頭、学会誌などに発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ひき続きKatherine Mansfield, J.M.Coetzee, Rosa Preadの研究を進めながら、オーストラリア、ニュージーランドの先住民たち(アボリジニ、マオリ)たちが英語でつづり始めた文学を考察する。先住民たちの抵抗と違和感の時期を過ぎて、彼らのエスニシティ―の肯定と共存へ模索を求める姿を追い、移民者と先住民との文化・エスニシティ―混合の過程が進むなかで、どのように「主体/アイデンティティー」をとらえ始めるのかを考察したい。 Patricia Grace, Witi Ihimaera, Kim Scooteなどを取り上げる。 全員での討議、ゲスト・スピーカーを招いてワークショップを行う。 学術雑誌に論文投稿、学会での口頭発表を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
助成金授与の決定が10月にでたため、4月から前半期に開かれた国内外の学会の参加費に使用することができなかった。前半期には、国外(ドイツ、ゲッティンゲン大学)での発表、国内(明星大学)での発表に、研究員が一人ずつ出かけている。また、比較的自由に資料収集に費やすことのできる夏休みを利用して国内、国外に出かけるための費用にあてることができなかった。 アルバイトなど、人件費を上手に使用することができなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
4月から、学会活動、資料取集などを行うことに費用をあてたい。 必要な物品を購入し、また、アルバイト、研究に役立つ講師の謝礼金など、人件費を使用し、効率的に研究を進めたい。
|