研究課題/領域番号 |
15K02357
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
柴崎 文一 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (90260124)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ミューア / アラスカの旅 / 科学と文学 |
研究実績の概要 |
本年度は、『アラスカの旅』とその周辺資料を参考としながら、「科学と文学の融合」に関するミューアの試みを読み解くべく考察を進めたが、その過程で、ミューアをアラスカ探検へと向かわしめる契機になったとされる、ヨセミテでの「日曜学校大会」Sunday-School Conventionの詳細を伝える記録を発見した。 ウルフLinnie Marsh Wolfeは 、1879年の6月7日からヨセミテで行われた「日曜学校大会」で、シェルダン・ジャクソンSheldon Jacksonが行ったアラスカに関する講演に接したことが、ミューアにアラスカへの探検旅行を思い立たせた契機であるとしている。しかしこれまでのミューア研究において、この「日曜学校大会」の詳細は、十分に明らかにされてはこなかった。 ヨセミテで開催された「日曜学校大会」は、ショトーカ運動Chautauqua Movementの一環として行われたものであった。ショトーカ運動は、ジョン・ビンセントJohn Vincent牧師(1832 - 1920)の提唱によって始まった成人教育運動であり、初めての集会がニューヨーク州のショトーカで開催されたことから、この名称で呼ばれることになった。この運動は19世紀末のアメリカで、極めて多くの人々から愛され、セオドア・ルーズベルト大統領Theodore Roosevelt(1858 - 1919)は、この運動を称して、「アメリカで最もアメリカ的なものだ」と言ったと伝えられている。ショトーカ運動では、毎年夏に、講演会や音楽会で構成される大規模な「日曜学校大会」が開催されていた。ヨセミテでの大会も、こうした背景から、2年の準備期間を経て開催されたものであった。 その他、6月7日から15日まで開催された大会の詳細も、本資料から明らかにすることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1879年の6月7日からヨセミテで行われた「日曜学校大会」の詳細を伝える記録を発見したことにより、ミューアがアラスカへと赴くことになった経緯を明らかにすることができるようになった。このことは、本研究の進展にとって大きな意義をもっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である2017年度は、今回発見した資料に基づき、ヨセミテでの「日曜学校大会」の詳細を明らかにし、さらにこの大会とミューアのアラスカ行きの関係を解明するとともに、1879年のアラスカ紀行に見られる「科学と文学の融合」の姿を明示する論稿をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が37円という少額であったため、他の必要な物品の購入等に充当することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の予算と合わせ、研究最終年度の成果取りまとめに必要な経費として適切に使用する。
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