研究課題/領域番号 |
15K02361
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石原 剛 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00368185)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 飛行文学 / アメリカ文学 / リンドバーグ / ノンフィクション / 飛行機 / リアリズム |
研究実績の概要 |
2017年度は2018年5月に予定されている日本英文学会全国大会シンポジウムの全体企画「イカロスを追いかけて―空をめぐる文学的想像力」の企画立ち上げと、シンポジウム参加予定者との研究発表内容のすり合わせや協議を中心に進めた。特に留意した点は、時代と地域のバランスであったが、まだ飛行機発明以前の19世紀以前のアメリカ文学を「飛行」という視点からどのように扱うかという課題を克服するため、フィクションの世界で飛行を扱っている19世紀の代表的なアメリカ作家であるエドガー・アラン・ポーとマーク・トウェインの専門家に相談をし、ポーは俗に「気球3部作」と呼ばれる作品、またトウェインは宇宙への旅を繰り広げる「ストームフィールド船長の天国訪問」という中編小説を扱うことした。同企画はアメリカ文学が中心となるが、世界文学という視点からアメリカ文学における飛行のテーマを扱う必要性を強く感じたこともあり、おそらく世界で最も飛行文学の書き手、アントイン・ド・サンテグジュペリの専門家にも参加を要請し、フランス文学における飛行の視点もいれたシンポジウムの企画を立案した。同企画は受理され、発表者と連携を取りつつ、2018年5月の第90回日本英文学会で成果を発表する予定である。 同シンポジウムでは、アン・モロウ・リンドバーグの1930年代の飛行文学、North to the Orientをテーマに、飛行をめぐる、現実と非現実の問題、女性として飛行することへの葛藤、日本飛来の際の日米関係の影響、飛行に忍び寄る暴力の影といった問題を論じるべく、徹底して同作家に関する資料収集や作品の精読と議論の組み立てに取り組んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より、計画していたアメリカ文学と飛行の関係を明らかにする共同のシンポジウムの立ち上げに成功し、単独では限界のある同テーマの掘り下げを開始することができた。また出版は遅れているが、昨年度口頭発表したチャールズ・リンドバーグの飛行文学に関する原稿も完成し、出版のめどもおよそ立っている。 同シンポジウムでの原稿は、書籍として出版すべく、出版社との交渉も進んでいる。執筆者も10名近い研究者から賛同を得ており、2018年度には研究書として一定の成果を出せる見通しが立っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は2017年に発表したチャールズ・リンドバーグの飛行文学に関する研究を今日著書に発表する予定である。今後も、編者と連携しつつ、完成原稿の見直しを行い、2018年度には共著書として出版する予定である。 また2018年5月に開催される第90回日本英文学会全国大会において空の視点からアメリカ文学を考察するシンポジウム「イカロスを追いかけて―空をめぐる文学的想像力」に企画統括者として3名の専門家とともに発表を行う。同シンポジウムの成果にさらに複数の研究者も加えて、『空とアメリカ文学』と題した研究書を共同執筆する予定である。すでに出版社からは企画に対して賛同を得ているので、今後は編者として、執筆者と連携しつつ2018年度内の出版を目指す。 個人としては、すでにほぼ完成している、チャールズ・リンドバーグ、および妻のアン・リンドバーグの飛行文学の研究を仕上げたのち、もう一人のアメリカを代表する飛行文学作家、Ernest Gannの作品分析を開始し、2018年度内に一定の目途をつける予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究資料の収集などで海外への出張を予定していたが、所属学科の責任者という役職を担当したため、当初の計画通り、海外への出張をすることが困難になったため。同役職の人気が2018年9月で終了するため、それ以降に、昨年度までに使用する予定であった海外出張の経費を本年度に充当する予定である。
|