研究課題/領域番号 |
15K02365
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
小池 理恵 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (80329573)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | チャゴス難民 / モーリシャス / 米国基地難民 / 英語圏文学 |
研究実績の概要 |
2016年度満期を迎えるDiego Garcia島の英国から米国への貸与に絡み、大きな動きが予測されるチャゴス難民の帰島問題を、関係3国(イギリス・アメリカ・モーリシャス)の文学表象から読み取ろうとするのが本研究の主たる目的である。それぞれの文学作品を関係国民がどのように読み取るのか、また同じ基地問題を抱える沖縄関係者がどう読むかを調査分析する。 2015年度は、予備調査としてチャゴス難民の実態調査及び歴史的背景の再確認を行った。この予備調査ではヨーロッパでのテロ事件を考慮し当初予定していたイギリス在住のチャゴス難民への聞き取り調査は行わず、モーリシャスのみでの調査とし、イギリスでの調査は新聞掲載関連記事での分析にとどめた。 これに伴い今年度は、主にモーリシャス文学(Lindsey CollenのMutiny)のチャゴス難民表象を分析し、その成果を国際学会にて発表することとした。モーリシャスでの実地調査を2回行ったうえで、モーリシャス文学におけるチャゴス難民の表象に関して、韓国での国際学会での発表したうえで研究論文を執筆出版した。この作品で特に注目すべきは、チャゴス難民を他の2人の主人公と同じ枠でとらえていることである。つまり、英国籍を持つ難民ではなく、モーリシャス国民としてとらえている。ここから、領土問題を含む作者の立ち位置が読み取れる。 またモーリシャス在住で、チャゴス難民問題に詳しいポストドクターの学生と当該作品についての意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績で報告した通り、2015年度はヨーロッパでのテロが懸念されたことから、当初予定していたイギリスでの実地調査を見送った。 しかし、その代わりモーリシャスでの実地調査及び文献調査により、国際学会で、その中間成果発表と、それに基づき査読付き国際学会論文の執筆、校正、出版が可能となった。また、その掲載論文を契機に2016年度はすでに、6月に韓国での招待シンポジウム、同じく6月にハンガリーでのグローバルアフリカ学会発表が内定している。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は前年度の研究成果を国際的に発信する機会がすでに2回内定している。それを踏まえ、8月後半に再度モーリシャスでの実地調査と作家への報告を予定している。 2月にはアメリカの関連作品について米国での実地調査と意見交換を予定している。 アメリカでの研究調査に関してはUCLAのアフリカンセンターへの調査依頼を念頭に置き、作家自身へのコンタクトも予定している。 またイギリスでの調査に関しては、作品分析とその研究成果を国際学会にて報告することが内定している。引き続き作者へのインタビュ―も調整中である。
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