本研究においては、1282年にアッコンで Jean d'Antioche によってラテン語から翻案された中世フランス語版キケロ『修辞学』(Rectorique de Marc Tulles Cyceron) の語彙を、シャンティイのコンデ博物館 (musee Conde) に所蔵されている第433番写本と、Elisa Guadagnini によって2009年にイタリアで刊行された近代版とを比較しながら検討した。刊本と各種辞書の記述の誤りを修正しつつ、このテキストがフランス語史と言語地理学にとって興味深い多くの単語を含んでいることだけでなく、聖地に特有の語彙をもつことを明らかにした。
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