研究課題/領域番号 |
15K02376
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岩津 航 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (60507359)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神話と文学 / ユリシーズ / ユダヤ性 |
研究実績の概要 |
平成27年7月11日に、市民向けに公開された金沢大学人文学類シンポジウムで口頭発表を行い、フォンダーヌの『ユリシーズ』の文学史的意義を説いた。9月6日には、金沢大学サテライトプラザの市民向けミニ講演で、ユリシーズ神話の文学的受容の歴史と実例を解説し、フォンダーヌの『ユリシーズ』を取り上げた。いずれも、来聴者からの質問を受け、議論を深める機会を得た。また、9月18日には、日本比較文学会関西支部例会で口頭発表を行った。こちらは、専門家向けの学術発表であり、ユダヤ文学の専門家などから、的確なコメントを受け、研究を深めることができた。 9月8日から13日にかけて、パリの国立図書館で、フォンダーヌとヴォロンカの作品が掲載された雑誌のマイクロフィルムを閲覧し、情報を整理した。従来の研究ではほとんど触れられることのなかった文献も発見し、今後、これらを論文にまとめて発表することで、研究を推進することができる。 パリでは、ヴォロンカの評伝の著者にも面会し、研究情報や書誌情報を交換した。帰国後も、購入した図書のうち、ヴォロンカの散文作品4冊について、意見を交換した。研究の国際的ネットワークの確立に向けた一歩であり、今後、こうしたネットワークを活用して、国際的な場での研究推進を図っていくことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3つの口頭発表では、それぞれ違った角度から、フォンダーヌとヴォロンカの作品を取り上げ、ユリシーズ神話の文学的応用について考察した。それにより、神話とユダヤ性の関係が解釈の焦点となることを解明し、今後の研究課題を絞り込むことに成功した。また、パリ国立図書館での文献調査、およびヴォロンカの評伝の著者との面会およびメールでの遣り取りによって、これまで不明瞭だったフォンダーヌとヴォロンカの関係が、かなり解明された。以上を総合すると、研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、フォンダーヌ研究の第一人者を海外から招聘し、講演を依頼する予定で、すでに当事者の内諾を得ている。研究に関する情報交換と議論を通じて、国際的な研究ネットワークを築き、本研究を深化させる。また、フォンダーヌの『ユリシーズ』執筆の大きな動機となったアルゼンチン旅行について、現地での文献調査を行う。平成27年度の調査を踏まえた研究論文を執筆し、学術雑誌などに発表する。
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