研究課題/領域番号 |
15K02377
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鎌田 隆行 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (30436985)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バルザック / フランス文学 / 十九世紀小説 / 生成論 |
研究実績の概要 |
1.バルザック『人間喜劇』およびこれと緊密な関係を持つ同時期の作品群について利用可能な版本、関連書籍、資料を広く参照し、テクストの成立と刊行全般について情報の整理を行った。また、最新のバルザック研究、とりわけ生成論的アプローチによる研究の進展状況を参照し、国内およびフランスの研究会やセミナーなどの場で第一線の研究者たちと意見交換を行った。 2.フランス学士院図書館ロヴァンジュール文庫に保存されているバルザック関係の資料の目録を調査し、『人間喜劇』に関する資料群の保存状況を精査した上で、原資料調査のための目録の原型を作成した。 3.上記の準備作業に基づき、ロヴァンジュール文庫で原資料の調査を行い、90件ほどの対象文献のうち、70件の第一次調査を終えた。これによって、当該資料体の形態的要素と内容を精査し、全体の構成、機能別分類(プラン、手稿、校正刷り、校正の際の挿入紙片など)、制作年代、枚数、特記事項などの記述を行い、目録の作成を進めた。これに伴い、既存の記述(プレイヤード版などの版本やジョルジュ・ヴィケールによる目録)の誤記や不正確な箇所を明らかにし、補足・修正した。 4.これらの成果に基づき、バルザックの1840年代の作品群や人物再登場のシステムの適用について再考を進め、論文「『そうとは知らない喜劇役者』――再発見の旅 (1)」を発表し、また二件の口頭発表("Genese des personnages reparaissants",「『ゴーディサール二世』と人物再登場」)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロヴァンジュール文庫の『人間喜劇』関連の原資料の調査および目録の記述の作成が計画通り順調に進み、各資料体の構成や諸特徴の記述を行い、またこれに基づいていくつかの個別作品の再解釈へと論考を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
悉皆調査の完遂に向け、残りの資料体の調査を順次進めていく。これと並行して、これまでに進めてきた記述を見直し、先行研究などの関係資料を適宜参照し、必要な箇所に補足を行う。対象とする資料体の一次調査を終えた後は、特に構成が複雑な資料群をピックアップし、これらに対してさらに詳細な二次調査を行う。これらの特に重要な資料については、内容の構成や物質的特徴のほか、当該作品の進展(内容的側面)をより詳しく分析し、特記事項の整理を行う予定である。
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備考 |
2015年12月12日に行った口頭発表の紹介ページ。
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