1. バルザック『人間喜劇』およびこれと緊密な関係を持つ同時期の作品群について利用可能な版本、関連書籍、資料を広く参照し、テクストの成立と刊行全般について情報の整理を行なった。また、最新のバルザック研究、とりわけ生成論的アプローチによる研究の進展状況を参照し、国内およびフランスの研究会やセミナーなどの場で第一線の研究者たちと意見交換を行なった。 2. フランス学士院図書館ロヴァンジュール文庫に保存されているバルザック関係の資料の目録を調査し、『人間喜劇』に関する資料群の保存状況を精査した上で、既に終えている第一次調査の結果を見直し、原資料調査のためのメモを作成した。 3. 上記の準備作業に基づき、ロヴァンジュール文庫で原資料の調査を行ない、資料体の詳しい構成や内容について未詳のところが残っていた15件に関して追加調査を行ない、制作年代、保存状況、特記事項などについて新たな知見を獲得した。これにより、目録内容が確定したので、フランス語による最終版の作成を進めた。 4. 調査の成果に基づき、バルザックの作品制作・刊行計画と小説内容の発展について再考を進め、論文"Modes de publication et poetique du chapitre chez Balzac"を発表し、また4件の口頭発表を行ない、バルザックの作品生成資料について理解を深めることを目指した。 5. 作成した目録の全体を見直して校閲し、書式を整えてインターネット上に公開した URL: http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/arts/prof/kamada_1/Descriptif.pdf
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