1920年から28年まで親密な関係にあったポール・ヴァレリーとカトリーヌ・ポッジとの間で交わされた書簡集と、たがいの日記さらにはポッジの遺作『魂の皮膚』を主たる研究対象としつつ、「二人で一人、一人で二人」という究極的な愛の姿がどのような手続きを経て実現されようとしていたかを明らかにした。またポッジの遺作『魂の皮膚』に、彼女とヴァレリーを結びつけた熱力学の第二法則ならびにネグエントロピーのが概念が生かされていること、そしてそうした考察が絶えず二人の身体をさいなむ「苦痛」と「快楽」を支配する意志のもとで行われていたことを明らかにした。
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