フランスの音声詩人であるベルナール・ハイツィックの作品における音とテクストとの相互補完的な関係について明らかにした。フランス音声詩の大きな特徴の一つであるテクスト(視覚詩)の使用が、その叙情的主体の構成において大きな役割を担っているとともに、それが読まれることによって、テクストのみによって構成された叙情的主体が声によって大きな変容を受け、新たな自我が構成されることを明らかにした。またこのようなハイツィックの詩的実践が単に詩を読むということにとどまらず、パフォーマンスという身体表象と結びつき、観客との相互作用を企図する側面を明らかにした。
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