2017年度は、1)国際会議での報告1件、2)国内における報告2件および発表なしの参加(司会)1件、3)フライブルクとミュンスターにおける研究調査、4)関連資料の収集とデータ整備、が主な活動であった。 1)については、7月から8月にかけてアメリカ・ケンタッキーにて行われた国際学会で研究の成果を報告し、世界的な近世ラテン語文学の広がりについて外国人研究者達と意見交換を行った。2)については、5月に東京大学における多分野交流演習に参加してパネル発表を行い、7月に学習院女子大学における学会で研究テーマと関係する発表の司会を行い、また3月に東京にて行われたカトリック教育学会で報告を行い、研究成果の発信をすると共に国内研究者と意見交換をした。3)については、8月に近世ラテン語研究が盛んなドイツ・フライブルクとミュンスターの研究機関にて研究調査を行って2次文献の知識を深めると共にドイツの研究者と意見交換を行った。4)については、特に上記3)で得られた知見に基づいて、近世ラテン語研究書や関連資料を収集し、データ整備を行った。 さらに2015年度と2016年度に行った国際学会報告2件の原稿はいずれも査読を通過し出版予定であるが、外国編集陣の要請に従ってそれらの校正を引き続き行った。また研究テーマと関連がある西洋古典と受容の問題について紀要論文を1点発表した。 特に本年度、上に記した2016年にイタリア・ローマで行った学会報告論稿の整備・校正の過程で、バチカン所蔵手稿『講義要綱』内のラテン語寸詩4点が、16世紀末のリスボン刊行本に収録されているものであるとほぼ同定できたことが、3年の研究期間内に得た最大の成果であるといえる。
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