サルトルとイタリア知識人たちの作品、新聞雑誌の資料文献を渉猟し、1940年代から60年代までのフランス実存主義とイタリアの交流および影響関係を具体的に跡づけることができた。主な成果は、(1)1933年の最初のイタリア旅行以来の具体的な滞在の期間や場所の特定、それらが絵画論(ティントレット)や文学作品に及ぼした影響、(2)作家(ヴィットリーニ、レーヴィラ)との交流、および、それがサルトルの主宰した「現代」誌の運営などに及ぼした影響、国際的な次元での知識人会議などを支える人的ネットワークの構築、(3)イタリアの左翼思想家(アリカータ、パーチ)などとの理論、実践両面にわたる交流の実態などの解明。
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