エメ・セゼールはネグリチュードの詩人として、第2次世界大戦後の反植民地主義や植民地独立の運動の中で活躍し、それ以降は時代遅れになったという見方があるが、本研究によって、彼の活動が雑誌に依拠しつつ、演劇分野にまで広がっていく中で、従来のフランス文学から自律した独自の言語空間(ブルデューの用語でいえば強力な象徴資本が蓄積されたトランスナショナルな言語的社会空間)を切り拓き、後のフランス語圏文学の自律空間を確立したことを検証した。トランスナショナルな言語空間研究の中で、雑誌『プレザンス・アフリケー』、ルネ・ドゥペストル、ダニー・ラフェリエール、ガストン・ミロンなどの研究成果も生み出すことができた。
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