研究課題/領域番号 |
15K02392
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福田 育弘 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70238476)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 飲食 / ワイン / フランス / 表象 / 料理 / 日本酒 / フランス料理 / 飲食空間 |
研究実績の概要 |
フランスと日本のワイン生産者の取材、フランスと日本におけるワインの受容の実地調査と、フランスにおける日本料理および日本人の料理人について現地調査を積極的におこなった。その結果、ワインを軸にして、日本では、フランス料理の定着と洗練が進み、それがフランスにも作用して、日本人でフランス料理をするシェフの台頭が確認できた。 いまやフランスの日本人シェフによるフランス料理と、日本における日本人シェフによる日本料理が、相互に交流し、かつ連携しつつ、おたがいに価値を高め合っている状況が確認できた。いまや日本のフランス料理は、フランスでも日本人シェフによる斬新はフランス料理として評価されつつある。 そのような日本人シェフによるフランス料理の洗練と評価は、日本における日本人によるフランス料理への高い評価と、日本人による日本料理自体のフランスやアメリカをはじめとした次第に広がりつつある評価を結びついている。 さらに、フランスでは、日本人シェフによるフランス料理が評価されつつある一方、それと並行して、2010年代から急速に日本人による日本料理が評価されつつあることが確認できた。いくつかの現地取材では、フランス料理を修行した日本人シェフが現地の人に請われて日本料理店を開き、大きな支持をえているケースも確認できた。それは、フランスをはじめとした欧米での日本酒の評価の広がりによく現れている。たとえば、多くの日本人シェフの日本料理店で質の高い日本酒が供される一方で、日本人シェフのフランス料理店でも、日本酒が料理に合わせて提供されているという事実が、フランスでも日本酒受容の広がりを示している。 日本のフランス料理を軸とした飲食空間は国際的な同時性を獲得しつつあることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日仏での積極的現地取材によって、フランス料理を軸に日本の飲食空間の編成状況を概観した場合、日本の飲食空間が、これまでの特殊性から脱し、世界的な同時性を獲得し、新たな段階にたっしていることが明らかになったから。 また、そのような展望が明らかになったことで、今後の研究の方向性が明確になったため。
|
今後の研究の推進方策 |
フランス料理を軸とした日本の飲食空間が世界化した理由、とくに日本人のフランス料理がフランスで高い評価を得た理由と条件とともに、フランス料理のとどまらず日本人による日本料理が高く評価され、支持されている理由をさぐっていきたい。 それはいいかえれば、研究題目は「フランス飲食文化の受容を軸とした日本の飲食表象空間の編成とその社会的意味の研究」となっているが、現代日本におけるフランス料理と日本料理の関係性を世界レベルで考察し、その受容(社会的表象)の新たな展開をあとづける必要があるということである。
|