研究実績の概要 |
今年度の成果について、以下のように総括することができる。
1)実証的な観点では、フランスにおいて現地調査を進め、歴史的史料の探索と、実際の歴史的遺物の調査に従事した。ビュフォンの地元であるブルゴーニュ地方の都市モンバールに今も残っている製鉄所を訪ね、最新の文献を獲得しながら現地で該当施設に関する調査を進め、また同時に、近隣の大都市であるディジョンにおいて、当地で発達した製鉄術が当時のブルゴーニュ地方における冶金術の伝統と関連が深いものであった点を確認することができた。その際、ディジョンに残る当時の地元有力者の文書を調査することで、ビュフォンとド・ブロスとの関係についてさらに新たな知見を得る可能性があることも判明した。また、当時のドイツを中心とした博物学の展開についても確認することができた。
2)理論的な観点からは、フランスの17世紀から革命後に渡る自然史の学術的展開を確認することができた。これについては、論文として「怪物・化石・恐竜----フランスにおける近代自然史の展開から」(『現代思想2017年8月臨時増刊号 総特集 恐竜』、青土社、2017年、217-223ページ)を発表し、また国際的な学術会議における口頭発表として“Imagination Improved ― Buffon’s Implicit Influences on British Romanticism―“, (International Conference of British Association for Romantic Studies, University of York, 27th July, 2017.(学内業務のため当日欠席となったため代読発表))という題のもとで発表する機会をもつことができた。
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