最終年度は、2017年3月に参加・調査した第1回南極ビエンナーレについての研究、国際共同研究を推進した。論考「舞台は南極。「第1回南極ビエンナーレ」で問い直す人類と芸術の関わり」(『ウェブ版美術手帖』)、及び千葉大学で開催した一般向けの講演会等により、研究の成果を広く公開すると共に、2017年12月にウラル連邦大学(ロシア、エカテリンブルク)、2018年1月に国立トレチャコフ美術館(ロシア、モスクワ)で、南極ビエンナーレ等についての専門的な講演を行い、ウラル連邦大学では美術史研究者タマーラ・ガレーエワ博士らと共に、また1月のトレチャコフ美術館のシンポジウム時には、ロシア、フランス、オーストリア、スペイン等の美術研究者、科学者と共に共同討議を行った。 2017年8-9月には、ガレージ現代美術館(ロシア、モスクワ)で、ロシアの美術コレクターでアーカイブ作成者であるレオニート・ターロチキンのアーカイブ調査を進め、ターロチキンの書簡と日記の分析を進めた。この研究成果は2018年度中にロシア語論文として発表される予定である。 モスクワ滞在時には、元モスクワ・コンセプチュアリストであるイリヤ・カバコフの旧アトリエ調査、ロシアの現代詩翻訳と詩人の取材、ロシア語の現代俳句についての調査等も行った。モスクワ滞在中にロシアの文学新聞の取材を受け、それらの研究業績が現地の新聞で紹介された。 一方で、ロシアの現代アーティスト、ニキータ・アレクセーエフのテクストと視覚芸術の研究を進め、2017年6月には、作家の協力を得て、作家の新作の展示を千葉大学附属図書館で行った。展覧会開催時には、研究の成果を学生のテクストと共に小冊子として刊行し、公開講演会を開催した。また、展覧会終了後には、アクテイブラーニングとして学生と共に現代美術作家の展示を作る試みを検討するために論考を発表した。
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