研究課題/領域番号 |
15K02407
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小椋 彩 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (10438997)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 亡命 / ロシア文学 / レーミゾフ / ポーランド文学 / 戦間期 |
研究実績の概要 |
7月、ロシア人亡命作家レーミゾフやロシア・モダニズムの大正時代の日本における受容について、筆者自身が新たに発掘した資料を用いて解明し、このロシア語論文が、国際的学術誌に掲載された。8月、レーミゾフの視覚芸術作品における古典文学のモダニスト的解釈について、国際学会で発表した。同学会では他に、ロシア文化に関するパネルの司会、東欧文学に関するパネルのコメンテーターを務め、国内外の研究者と意見交換を行った。10月、ロシア文学研究所(ロシア、サンクトペテルブルグ)主催のレーミゾフ学会で、レーミゾフのカリグラフィーと東洋文化の関わりに関する研究発表を行い、ロシア他の研究者と意見交換、および亡命ロシア文学の共同研究に関する意見交換を行った。11月、戦間期パリの亡命ロシアと亡命ポーランド間の交流について、亡命ロシア文化の国際学会で報告を行い、海外の研究者と意見交換を行った。2016年3月、体制転換後のポーランドの映画・文学にあらわれたローカルな事象を扱う傾向について、共産主義へのノスタルジーとからめ、ドキュメンタリー映画を題材に分析し、英語論文として発表した。また、2013年に招聘したポーランド人作家オルガ・トカルチュクのポーランド語講演原稿を題材に、ポーランド文学の「移動」のテーマについて分析し、英語論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は本研究の初年度にあたるが、これに先行して進めてきた研究の論文出版が相次ぎ、本研究については、国内、および8月から9月にかけてのポーランドでの資料収集が中心となった。ただし、3回の学会発表で国内外の研究者と活発な意見交換を行い、きわめて多くの示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度はロシア文学博物館(モスクワ)、ポーランド国立図書館(ワルシャワ)で、(1)亡命ロシアと亡命ポーランドの戦間期パリにおける交流について、および(2)ポーランドにおける亡命ロシア雑誌について、それぞれアーカイヴ調査を予定している。集めた資料を分析、結果を日本ロシア文学会で口頭発表し、このとき得られるであろうフィードバックを活かして今年度中に論文として発表する。また、2017年度以降に出版予定の亡命ロシアに関する著作に活かす計画である。
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