研究課題/領域番号 |
15K02407
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
小椋 彩 東洋大学, 文学部, 助教 (10438997)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 亡命ロシア / 亡命ポーランド / レーミゾフ / ユゼフ・チャプスキ / レオン・ゴモリツキ / ワルシャワ |
研究実績の概要 |
本研究は、20世紀初頭以降、世界各地に形成されたロシア・ディアスポラの中でも、ワルシャワ、クラクフ、ウッジなど、ポーランド各都市のそれに注目し、その世界文化への貢献を明らかにしようとするものである。ポーランドの亡命ロシアについては世界的に見ても研究の蓄積が浅いため、6月、8月、10月にワルシャワとクラクフのアーカイブで集中的に資料収集を行い、現在、成果を論文にまとめている。とくに10月の国際学会(ユゼフ・チャプスキ記念学会、クラクフ)に参加し、ピョートル・ミツネル氏(ステファン・ヴィシネフスキ枢機卿大学)ら現地研究者と意見交換を行ったこと、新設された国立博物館別館(チャプスキ・パビリオン)を訪問したことはきわめて有意義だった。 平成29年4月、亡命ロシア作家アレクセイ・レーミゾフとポーランド人との交流について、とくに亡命ポーランド人チャプスキとの関係に照らした解説「レーミゾフとポーランド」が『ポーレ』91号に掲載された。平成30年2月、亡命ロシア研究の現状を概説した「ポスト「亡命時代」の亡命ロシア研究」が東洋大学文学部日本文学文化学科紀要「日本文学文化研究」17号に掲載された。また、日本の児童文芸雑誌『赤い鳥』に、1930年代、レーミゾフ作品が翻訳掲載された経緯について、『赤い鳥辞典』(『赤い鳥』創刊100周年記念事業)の項目「レーミゾフ」にて執筆し、これは平成30年7月に柏書房より出版される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでほとんど研究の蓄積がなかったワルシャワの亡命ロシアについての最新の研究書がワルシャワで2016年10月に出版されたため、これを踏まえて本研究の見直しを迫られた。ただし、外国人が短期間で入手しにくい資料がこの本で活字化されたことで、新たな問題点を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年4月、英国スラヴ・東欧学会(ケンブリッジ)にてこれまでの成果報告。フィードバックを踏まえて8月に国際スラヴィスト会議(ベオグラード)で成果報告。ポーランド文学研究所(パリ)で資料収集。10月、分担者を務める東欧文学プロジェクトのシンポジウムで、関連テーマを報告。同プロジェクトの論集に成果を発表。今年度中に、全体のまとめとして国際的査読誌に投稿。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年秋にワルシャワで出版された研究書の成果を踏まえて本研究全体の見直しを迫られた。2017年秋に予定していた学会発表をとりやめ、2018年4月の国際学会で成果を発表することとした。
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