研究課題/領域番号 |
15K02408
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳原 孝敦 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20287840)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 世界文学 / モデルニスモ / ルベン・ダリーオ / アルフォンソ・レイェス |
研究実績の概要 |
東京大学文学部現代文芸論研究室の紀要『れにくさ』に以下の論文を発表した。 「コスモポリタンな欲望--ブエノスアイレス-パリ-ブエノスアイレス」『れにくさ』第9号、2019、pp.145-156. これは2018年9月21日、立命館大学衣笠キャンパスで開かれた第9回世界文学・語圏横断ネットワーク研究集会での口頭発表を基に文章化したものである。 また、2019年2月27日から3月5日にかけてはアルゼンチン、ブエノスアイレスにおいてアーカイヴ調査および文献収集を行った。今回の出張は学事との兼ね合いで日程が十分に取れなかったので、現地の研究者や作家らとの意見交換の場を持つことはできなかったものの、1930年代当時の言論空間の調査としてはまずまずの結果を得た。時間の関係からごくわずかなものとならざるを得なかったが、上記論文の仕上げに際しては参考になった。 2018年9月26日から28日にかけては、所属する東京大学の主催によるJapan Latin America Academic Forum(於・日光)というのに参加した。ここでの発表や司会した分科会の内容は直接には本研究とは関係ないが、メキシコやチリの研究者と有意義な意見交換ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初出版を予定していた著書の出版が遅れている。ただし、これは版元となる東京外国語大学出版会、およびその書籍のはいるシリーズの他の著者の仕事の進捗状況との関係によるものである。そうした問題も決着しつつあるので、2019年度にはその成果を世に問うことができそうである。その著書のうち数章は、本研究の成果と見なしうるものであり、その部分の執筆は終えている。版元の作業が待たれるところである。 また、本研究の成果として毎年発表してきた論文および、これから発表する予定の翻訳などは、報告のとおりであり、おおむね順調と言って良い。
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今後の研究の推進方策 |
遅れ気味である著書の出版に関しては、ひとつは、上記のごとく、版元の問題であるので、解決され次第、進める予定。予定していた他の著書に関しても、着実に進めているところである。 また、これまで研究成果として発表した論文等を編纂し直し、著書などにまとめることを検討している。 今後は研究の焦点をフランス生まれのスペイン語作家マックス・アウブと、彼が亡命先のメキシコで親好を結び、その生涯を小説化したスペイン人映画監督ルイス・ブニュエルの関係に絞るつもりであり、アウブの『小説ブニュエル』の翻訳と研究なども行う予定。アウブの記念館がスペイン、バレンシア地方にあるので、今年度は、そこを訪問する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度はアルゼンチン、ブエノスアイレスに調査旅行に行った。そのため、研究旅行で多くの額を使用することになるだろうとの見込みで計画的に予算執行していた。しかしながら、ブエノスアイレスまでの旅費は当初見積もりよりも安く、かつ、滞在日数も、学事との兼ね合いで予定より少ないものになった。結果的に研究旅行における予算の執行が計画より少ないものになり、未使用額、すなわち次年度使用額が生じた。 最終年度でもある今年度は、スペインへの研究旅行を予定しているが、これを早めに執行することによって見積額との差を埋め合わせる時期を早める予定。
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