最終年度である今年度は、バルセローナへの研究旅行を実施した。チリ生まれでメキシコ市で青春時代を過ごし、バルセローナに移住し、近隣の都市で生涯を終えた作家ロベルト・ボラーニョや、カタルーニャ生まれでコロンビアのバランキーリャで書店を開き、若きガブリエル・ガルシア=マルケスらに影響を与えた作家ラモン・ビーニャスらの足跡をたどり、フランス生まれのユダヤ人でスペインにおいてスペイン語で著作し、内戦を逃れてメキシコに移住したマックス・アウブの文書館(近隣のバレンシア地方にある)を訪ねる予定だった。あいにく3番目の計画(アウブの文書館訪問)は台風によって出発が延期になり、滞在も短縮せざるを得なくなったので、叶えられなかったが、前二者の目的はある程度叶えられた。かつてボラーニョ展開いた現代文化センターでの資料調査などだ。 また、今年度、著書『テクストとしての都市 メキシコDF』を東京外国語大学出版会から上梓した。移動によって形成されたメキシコの文化を描出したものとなっている。
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