本研究は、作家や知識人の移動(亡命など)が、その移動した先の文化に及ぼす影響を記述・考察するものであり、その結果、「ラテンアメリカ文学」などの概念を捉え直すこと、そしてやがては、近年語られることの多い「世界文学」との関連を探ることを目的としている。本研究の期間、私は5本の雑誌掲載論文、2件の口頭発表(講演)、一冊の単著を発表し、その成果を世に問うた。それぞれ、モデルニスモの時代、アルフォンソ・レイェスとアレホ・カルペンティエールの事例、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、スペイン内戦などを扱いながら、ラテンアメリカの意識の形成と解体、その後の「世界文学」の概念への展開の問題を論じた。
|