研究課題/領域番号 |
15K02410
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 正美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10326621)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロシア / 前衛音楽 / 外国文学 / 比較文学 / 現代詩 / 芸術史 / 芸術諸学 / 非公式芸術 |
研究実績の概要 |
研究代表者である鈴木正美を研究の統括者として、①非公式芸術の誕生と発達」研究グループ(鈴木正美、リュドミーラ・ドミートリエヴァ、他)、②「ジャズ・ロック文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、キリル・モシュコウ、ロマン・ストリャール、アレクサンドル・ベリャーエフ他)、③「人形劇の変化と人形美術の誕生」研究グループ(大井弘子、他)の3グループが各々研究にあたり、次の2回の研究会および講演会を行った。第1回研究会「ポスト・クリョーヒン・スタディーズ」(2016年6月19日、ビブリオテカ・ムタツミンダで開催。報告者:鈴木正美、岡島豊樹)、第2回研究会「ポスト・クリョーヒン・スタディーズ。セルゲイ・レートフ講演」(2017年1月29日、水道橋「ftarri」で開催。報告者:セルゲイ・レートフ、鈴木正美、梅津紀雄、岡島豊樹)、および2017年1月27日、新潟大学におけるセルゲイ・レートフ講演「ロシアの首都圏外における即興と前衛ジャズ」と特別授業「ソ連/ロシアにおける前衛ジャズー自伝的回想」である。 鈴木正美は2016年7月31日~8月6日、ロシア(ヤクーツク)でサハの民族音楽とジャズに関する調査を行った。また、2017年2月22日~3月2日、ロシアとリトアニアで現地調査を行った。モスクワにおいて研究協力者のリュドミーラ・ドミートリエヴァのコーディネートで、音楽家ウラジーミル・マルトゥイノフのフェスティヴァルに参加し、多くの資料を入手した。また、研究協力者のセルゲイ・レートフからも資料を提供された。ヴィリニュスでは研究協力者のアンタナス・ギュスティスの協力で打楽器奏者のウラジーミル・タラーソフに聞き取り調査を行った。ギュスティスからはリトアニアのジャズに関する貴重な資料を提供された。その他、諸関係者と面会し、多くの資料を入手することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ソビエト・ジャズの黄金期と呼ばれる1980年代ソ連の地方都市における前衛芸術・非公式芸術・アンダーグラウンド文化がどのように生まれ、変化していったのか、そしてローカルな芸術・文化が如何に世界的に評価されるグローバルな芸術・文化となっていったのかを明らかにすることにある。そこで、本年度は2016年3月に行った海外調査の研究報告会を開催した。さらにサックス奏者であり、現代ロシア音楽文化の研究者である研究協力者のセルゲイ・レートフを日本に招へいし、研究会、講演会を開催した。これにより旧ソ連圏の地方都市におけるジャズ文化の進化と変容について多くの知見を得ることができた。 鈴木正美は2016年7月31日~8月6日、2017年2月22日~3月2日、ロシアとリトアニアで現地調査を行った。これにより研究協力者のセルゲイ・レートフ、リュドミーラ・ドミートリエヴァ、アンタナス・ギュスティスから聞き取り調査を行うことができたばかりか、日本では入手不可能な貴重な資料を多数入手した。 当該研究に関わる資料(書籍、論文、音源、画像、映像)は順調に収集しており、上記の研究協力者の紹介より、研究に協力してくれるロシア、リトアニアの関係者がさらに増えたことで、今後の資料収集・調査がますます容易になることが期待できる。 また、ウラジーミル・タラーソフの自伝『トリオ』の翻訳本を2016年1月に出版したことにより、リトアニアで著者本人にも会うことができ、聞き取り調査を行うことができたことは大きな収穫であった。これらの調査により現代ロシアの非公式芸術、前衛音楽、アンダーグラウンド文化の一端が明らかになったことは間違いない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の核となる①非公式芸術の誕生と発達」研究グループ(鈴木正美、リュドミーラ・ドミートリエヴァ、他)、②「ジャズ・ロック文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、セルゲイ・レートフ、キリル・モシュコウ、ロマン・ストリャール、アレクサンドル・ベリャーエフ、他)、③「人形劇の変化と人形美術の誕生」研究グループ(大井弘子、ナターリヤ・コストローヴァ、他)、という3つのテーマごとに研究グループをつくり、それぞれの領域で研究を行う。 平成29年度はこれまでの調査・研究をもとに、各グループの研究を統合し、研究をより網羅的、包括的なものへと発展させる。6月10日には本研究プロジェクト参加者による研究報告会を開催し、各人の相互理解を深める。さらに現地調査での具体的な調査内容を再検討する。海外研究協力者とは電子メールによって討議を重ね、現地調査に関しても意見交換をし、調査におけるさまざまなコーディネートを依頼する。各グループは必要に応じて個別の研究会を開き、研究をさらに進めていく。さらに鈴木正美はアンタナス・ギュスティスの協力のもとバルト三国で現地調査を行うことで、現地の関係者・研究者とのより広いネットワークを築き、次なる研究プロジェクトのための足場を固める。平成29年12月には研究の総まとめとして研究協力者のリュドミーラ・ドミートリエヴァとアレクセイ・ボリーソフを日本に招へいしての公開シンポジウムを開催し、広く一般に研究成果を還元する。3月には研究報告書をまとめ、これも研究会ホームページにて公開する。
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