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2017 年度 実績報告書

18世紀後期の劇作品にみる市民家族像の政治性についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02412
研究機関三重大学

研究代表者

菅 利恵  三重大学, 人文学部, 准教授 (50534492)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード親密領域 / ナショナリズム / コスモポリタニズム / レッシング / シラー / ヴィーラント / 啓蒙時代
研究実績の概要

本研究では、18世紀後半の家庭劇に注目し、私的な愛の関係性のはらむ政治性がこの時代の文学テクストを媒体としていかに展開し、またテクスト自体をいかに規定したのかについて探ってきた。具体的には、レッシングやシラー、またヴィーラントにおける親密領域の描写を分析し、そこに、道徳的な政治主体の構築という問題意識がどのようにすくい取られているかを明らかにしてきた。その際、特に同時代の市民知識層によるコスモポリタニズムとパトリオティズムの展開に注目し、これらの潮流と関連させながら、個々の作品における愛の描写を分析してきた。最終年度においては、特にヴィーラントの言説に注目し、彼のコスモポリタニズムにおける親密領域の意義について考察した。まず、1788年の『ドイツのメルクーア』に発表された論説「コスモポリタン教団の秘密」を分析し、ここで、社会の中で生きつつも社会の流れとは一定の距離を保ち続ける、「社会の中のコスモポリタン」としての生き方が提示されていることを明らかにした。次に、このような「社会の中のコスモポリタン」という考えが、「コスモポリタン教団の秘密」から10年後に書き始められた長編小説『アリスティッポス』においてより具体的なかたちで提示されていることを指摘し、「社会の中で生きつつ社会の流れからは距離を保つ」というヴィーラント的なコスモポリタニズムを実践するにあたって、私的な親密領域が決定的な意味を持たされていることを明らかにした。この研究の成果を、平成29年独文学会春期研究発表会において口頭発表した。さらに、研究期間全体の成果をふまえて、近代化の過程における親密領域の政治的意義について改めて包括的に考察し、著書にまとめた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 親密さの政治学―ヴィーラント『アリスティッポス』 における愛とコスモポリタニズム2017

    • 著者名/発表者名
      菅利恵
    • 学会等名
      日本独文学会2017年春季研究発表会
  • [図書] 「愛の時代」のドイツ文学2018

    • 著者名/発表者名
      菅 利恵
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      彩流社
    • ISBN
      978-4779124501

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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