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2017 年度 実施状況報告書

ドイツ語圏現代文学における間文化性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02417
研究機関名古屋学院大学

研究代表者

土屋 勝彦  名古屋学院大学, 国際文化学部, 教授 (90135278)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード越境文学 / インターカルチュラリティ / 多言語・多文化性 / 移民文学 / アイデンティティ / ポストコロニアリズム
研究実績の概要

2017年度は、5月に日本独文学会においてオーストリア現代文学に関するシンポジウムを企画・実行し、6月に日本比較文学会において日独越境作家である森鴎外と多和田葉子の比較シンポジウムを企画・実施した。また10月には4名のドイツ語圏越境作家を招待し国際シンポジウム「インターカルチュラリティと日本」を企画・実施した。ドイツ語圏の越境文学研究の傾向として、「移民文学」という概念自体がすでに現代文学シーンに地歩を固めた結果、オートフィクション(当事者性と虚構の混交)やアイデンティティ、インターカルチュラリティの主題が普遍化・前景化し、そこに作家自身の変転する来歴とヨーロッパの歴史が交錯する物語の構築へと向かっている。越境作家たちは、言語、文化、民族の一体性から離れた越境者の視点から、間文化性のダイナミズムを普遍的な主題へと導いており、それは越境文学に与えられるシャミッソー賞の終了と、普遍的な文学領野への進出と無縁ではない。語りの手法も前衛的・革新的というより正統的で冷静な文体に立ち戻っている点でも、現代文学の最新の傾向に合致しており、現代文学における汎ヨーロッパ主義的な普遍主義への方向性も、越境作家たちのインターカルチュラルな経験の実相がヨーロッパの戦後史と呼応する状況と一致している。日本とヨーロッパの比較文化的なアプローチを志向する作家たちも、エキゾチシズムの観点よりも複合的相対主義的な視点からとらえるポストコロニアリズム的な在り方を探求している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

9月のドイツ・オーストリア出張は、国内での所用が山積したため実現できなかったこと、また10月のシンポジウム開催にあたって、招待作家たちの旅費及び滞在費が当初の見積もりより少なかったことにより、予算が残った。研究計画自体はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

4月と5月に越境作家のAnn Cotten氏とMilena Flasar氏の朗読討論会を行い、意見交換する。来日したIlma Rakusa氏と多和田葉子氏とは意見交換することができた。また9月にはドイツ・オーストリアへ出張し数名の越境作家たちと面談する。さらに9月中旬締切りの日本独文学会特集号「移動する文学」に向けて論文執筆及び査読を行う。また12月には講演会と研究会を継続する予定である。

次年度使用額が生じた理由

9月のドイツ・オーストリア出張は、国内での所用が山積したため実現できなかったこと、また10月のシンポジウム開催にあたって、招待作家たちの旅費及び滞在費が当初の見積もりより少なかったことにより、予算が残った。
今年度は、4月と5月に越境作家の講演会と朗読会を行う。また9月にはドイツ・オーストリアへ出張し越境作家たちと面談する。9月中旬締切りの日本独文学会特集号「移動する文学」に向けて論文執筆及び査読を行う。また12月には講演・研究会を行う予定であり、以上の作家謝礼、旅費、研究者招待費用、印刷費などで予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] Texte der Vortraege von vier Autoren beim Symposium "Interkulturalitaet und Japan“2018

    • 著者名/発表者名
      Masahiko Tsuchiya
    • 雑誌名

      名古屋学院大学論集 言語・文化篇

      巻: 29巻2号 ページ: 95-128

    • DOI

      10.15012/00001073

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] オーストリア現代文学と越境文学―二つのシンポジウムを終えて―2017

    • 著者名/発表者名
      土屋勝彦
    • 雑誌名

      名古屋学院大学論集 言語・文化篇

      巻: 29巻1号 ページ: 77-82

    • DOI

      10.15012/00000961

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ドイツ文学(海外文学概観)2017

    • 著者名/発表者名
      土屋勝彦
    • 雑誌名

      文藝年鑑2017

      巻: 2017 ページ: 75-77

  • [学会発表] Das Symposium "Interkulturalitaet und Japan" 企画・司会2017

    • 著者名/発表者名
      Leopold Federmair, Lydia Mischkulnig, Ann Cotten, Tzveta Sofronieva
    • 学会等名
      科研費 シンポジウム
    • 国際学会
  • [学会発表] シンポジウム「森鴎外と多和田葉子」企画・司会2017

    • 著者名/発表者名
      松永美穂、越川瑛里、依岡隆児、林正子、
    • 学会等名
      日本比較文学会(山形大学)
  • [学会発表] シンポジウム「ポスト・ハプスブルク神話―グローバリゼーションとローカルな土着性の狭間に動くオーストリア現代文学」企画・司会2017

    • 著者名/発表者名
      Walter Vogl, 真道杉、徳永恭子、Martin Kubaczek
    • 学会等名
      日本独文学会春季研究発表会(日本大学)
    • 国際学会
  • [図書] 国際シンポジウム「インターカルチュラリティと日本」報告記録集(編集)2018

    • 著者名/発表者名
      土屋勝彦(編集)
    • 総ページ数
      69頁
    • 出版者
      名古屋学院大学(発行)
  • [備考] ドイツ現代文化研究会

    • URL

      http://doitsubunka.zouri.jp/Germany.html

  • [備考] 名古屋学院大学研究者情報 土屋勝彦

    • URL

      https://www.ngu-kenkyu-db.jp/V02010_choord.php?PARAM=2351F9

  • [学会・シンポジウム開催] インターカルチュラリティと日本2017

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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