2018年9月に1週間にわたる資料収集出張(イェール大学付属バイネキ稀覯書手稿図書館、米国ニューヘイブン市)を行い、ニーナ・ベルベロワ旧蔵のホダセヴィチ手稿群を中心に、亡命ロシア文学関連の一次史料を閲覧・撮影した。この出張により、本研究計画で予定していた資料収集出張は国内・国外とも、すべて予定どおり完了することができた。 収集した資料多数は鋭意分析中であるが、得られた知見の一部を生かし、論文「詩人の誕生:若きホダセヴィチと初期詩篇」を当該年度中に執筆・発表することができた。これは、亡命期を含むホダセヴィチの全創作を視野に、彼の若年期の人生経験が創作に及ぼした影響を考察した論文である。発表雑誌は査読誌ではないが、オープンアクセスにより広く閲覧や批判が可能となっている。 研究計画の最終年度であるため、総括として「科研費ワークショップ:革命前後のロシア文学」と題する研究集会を自ら組織・開催した(2019年2月16日、於駒澤大学駒沢キャンパス)。研究集会の冒頭では、研究代表者(三好)が1時間余りの講演「ホダセヴィチの国外アーカイブ」を行い、本研究計画での資料収集結果の概要を報告したほか、今回特に招へいした専門分野の近い研究者2名に関連講演を行っていただいた。さらに各講演の内容に基づき、来聴者もまじえ全員でディスカッションを行った。本研究の意義、あるいは究明すべき今後の課題について多くの知見を得ることができ、研究期間の締めくくりにふさわしい充実した研究集会であったと考えている。 本課題の研究期間はとりあえず終了するが、予想を超える大量の一次史料を収集することができたため、さらなる研究の展開をめざし分析を続けてゆきたい。
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