イシス神のイメージの興隆を近代において可能ならしめた理論的背景にあったのは「世界の複数性」の議論である。「世界の複数性」を受けて古代神学の立場をとるならば、キルヒャーに代表的であるように、イシスをひとつの鍵として地球上における啓示の普遍的な拡がりを見ようとする普遍史が結果する。対して、「世界の複数性」を受けて、キリスト教に到る啓示の歴史を特別としないのであれば、無神論の立場が一番合理的であることが比較文化的にも了解されるが(司馬江漢と山片蟠桃)、あえてなお神性をそこに見る立場もあり、それが物活論的なヘルダーの立場であり、これはゲーテに基本的には共通している。
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