研究課題/領域番号 |
15K02426
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
諫早 勇一 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (80011378)
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研究分担者 |
大平 陽一 天理大学, 国際学部, 教授 (20169056)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 在外ロシア / 文化の共生 / エコール・ド・パリ / プラハ言語サークル / 亡命文化 / ソコル / ナボコフ |
研究実績の概要 |
平成28年度、研究代表者の諫早は地域的にはドイツ、フランスを中心に研究を進め、1920年代のベルリンを舞台にしたロシア人亡命者ナボコフの小説の翻訳を進めるとともに、「エコール・ド・パリ」における各国の芸術家たちの文化的共生について考察を進めている。 研究分担者の大平陽一・天理大学教授はチェコをテリトリーに研究を進め、ソコルという組織の体操運動や言語学者のムカジョフスキーについて論考を著しているほか、モラヴィアのロシア語ギムナジウムに関しても学会発表を行った。 このほか、われわれの視野を広げるために一年間に2回研究会を催し、在外ロシアなどに通じた研究者を招いて講演をお願いして研究の一層の発展と拡がりをめざした。9月には京都大学で「ルースキイ・ミールの諸相」と題した第1回の研究会を催し、望月哲男・北海道大学名誉教授に「遍歴の修道士パルフェーニイが描いた19世紀モルダヴィア、アトスの宗教世界」と題した講演をお願いしたほか、松下隆志氏、宮風耕治氏にも現代ロシア文化や在外ロシア出版について報告をお願いした。また2月には駒澤大学で「戦間期ヨーロッパのロシア世界」と題した第2回の研究会を催し、三好俊介・駒澤大学講師には「亡命期ホダセヴィチの詩篇を読む」、高橋健一郎・札幌大学教授には「ニコライ・メトネルの生涯と音楽」と題した講演をお願いして新たな知見を得たほか、林由貴氏には戦間期ロシア亡命者の教育思想についての報告を、研究分担者の大平陽一・天理大学教授には「『庵』の亡命詩人たち」に関する報告をお願いした。これまでの2年間で合計4回の研究会を開き、さまざまな地域、分野の専門家を招いて講演・報告をいただくことで、本研究は少しずつ視野を広げ、深さを増しているように感じられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要にも記したように、研究代表者と研究分担者はそれぞれの分担地域・領域に関して一定の研究成果を収めて論考を発表、あるいは準備を進めており、研究は順調に進展しているといえる。またこれまでで4回の研究会を開いたが、講師の方々はそれぞれ魅力的なテーマをくわしく紹介してくださり、われわれの研究にも大きな刺激を与えてくれている。
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今後の研究の推進方策 |
戦間期(1920年代、30年代)のヨーロッパにおける在外ロシア文化の研究をいっそう広げるために、これまで1920年代が中心だった研究を30年代にも広げていきたい。また地域もドイツ、フランス、チェコが中心だったが、その他のスラブ諸国や西欧諸国にも関心を広げ、必要であればその地域の専門家をお招きして講演をお願いしたい。領域としては文学・言語学・演劇・絵画などが中心だったものをバレエ・音楽などにも広げていきたい。 今後も年に2回程度研究会を開いてさまざまな専門家の意見をうかがうとともに、積極的に国内外に出張して資料収集に努めたい。そして、最終年度には海外からの研究者を招いた研究会を開くとともに、論文集を刊行したいと考えている。
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