研究課題/領域番号 |
15K02429
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
江尻 徹誠 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (80528232)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 明末清初 / 清代 / 詩経通義 / 朱鶴齢 |
研究実績の概要 |
本研究計画「明清における文学と経学の相関をめぐって―その発展的考察―」では、その主要な研究目的として、明末清初期の文人・学者による文学的創作活動と彼らの交遊が、当時の経学研究に及ぼした影響について解明することをあげた。より具体的に述べると、明末清初に活躍した多くの文人のうち、経学研究でも多くの成果をのこした朱鶴齢(1606~1683)を主たる研究対象とし、その創作活動と彼の交遊関係が、のちの経学研究にどのような作用を及ぼしたか、彼と彼の知己たちの著作などを手掛かりとして考察をすすめて、そこから、当時の学界における学術活動の推移についてよりいっそうの理解を深めるものである。 本研究では、実際に進行すべき研究課題を以下の三点、すなわち、(A)朱鶴齢の代表的著作の校訂・整理・分析、(B)朱鶴齢の学術的交遊関係の解明、(C)朱鶴齢の学友とその学問に対する考察、に設定し、研究の更なる発展的継続も視野に入れながら考察を遂行することとした。本年度の研究についても、国内外での資料の調査・収集・複製をおこないながら校訂をすすめ、資料自体の整理と分析を継続した。本年度の研究作業の結果として、『愚庵小集』『詩経通義』『禹貢長箋』『読左日鈔』等の一次資料に加え、これらと関連のある文獻資料とその著作者たち、またその思想史的側面から派生する諸問題について、幾分かの知見を得たため、これらに関する試論および愚見を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究については前述の通りである。口頭発表した愚見に関しては、稿を改める、あるいは他の研究とまとめて再度発表を準備したい。本年度は朱鶴齢の著作『尚書俾伝』の整理と分析に手が及ばなかったことと、『読左日鈔』に関する検討にも余地をのこしていることを反省点とするが、その他の資料の校訂や整理、および研究についてはおおむね順調であると愚考し、上述の区分とする。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、本研究計画申請時に予定していた研究計画・方法に沿って執行していく。(A)朱鶴齢の代表的著作の校訂・整理・分析については、引き続き資料の調査・収集と整理・分析をすすめていく。(B)朱鶴齢の学術的交遊関係の解明については、『読左日鈔』『尚書俾伝』等を手掛かりにしつつ研究をすすめたい。(C)朱鶴齢の学友とその学問に対する考察については、その思想的特徴や文学性に配慮しつつ、引き続き顧炎武や陳啓源を端緒としてその周辺にも考察をすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入予定をその必要性から次年度に繰り下げたため。また、本年度の出張について、私費でまかなったものがあったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において、調査に使用する物品の購入費および出張旅費にかかる経費として計上する。
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