研究課題/領域番号 |
15K02430
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐竹 保子 東北大学, 文学研究科, 教授 (20170714)
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研究分担者 |
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10400201)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 中国文学 / 中国思想 / 謝霊運 / 山水詩 / 仏教 / 異文 / 修辞 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究代表者佐竹が、「謝霊運詩中的人與物――以詩語「賞」爲線索――」を楊雅惠主編『以物觀物:臺灣、東亜與世界的互文脈絡』(國立中山大學人文研究中心・國立中山大學文學院2016年5月、全513頁)79~97頁に発表した。また、訳注として、下定雅弘・松原朗編『杜甫全詩訳注(二)』(講談社2016年7月、全927頁)の305~383頁を担当し、シカゴ大学東亜語言文明系中文教研室主任の王友琴「摧毀日記的革命」を「日記を壊した革命」と題して『東北大学文学研究科研究年報』第66号(2017年3月)89~126頁に載せた。さらに、秋吉収著『魯迅 野草と雑草』(九州大学出版会2016年11月)に対する書評が、『西日本新聞』2012年2月12日19版12頁に載った。 研究分担者齋藤は、「『歴代法宝記』考―山居修道と居士仏教―」を、『集刊東洋学』第115号(2016年6月)45~64頁に、「『大辯邪正経』と『六祖壇経』」を、『古典解釈の東アジア的展開』(京都大学院文化学研究所、2017年3月)137~164頁に載せた。 研究発表としては、研究代表者佐竹が、「中国学からの日本にある漢文古典籍の電子データ化についての提言」を、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画研究集会・あらたな古典学としてのレテラシー史研究――他分野融合による可能性を求めて――」の第3部総合討論「古典学の未来へ――他分野融合を通して――」(2016年9月11日、東北大学文科系総合講義棟203室、主催は大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館/国立大学法人東北大学大学院文学研究科・ヨッタインフォマティクス研究センター・附属図書館)において、行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】に示したとおり、論文を3本、訳注を2本、書評を1本、学術雑誌や新聞書評欄に発表している。「平成27年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書」の「平成28年度の研究実施計画」に記した事項に、おおむね即した形で、研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究を継続し、深化させる。 清代の学者たちの、謝霊運詩文の異文に対する見解をとりあげて検討し、その妥当性を考察した論文は、すでに投稿済みで、本年度6月に全国的学術雑誌『集刊東洋学』に掲載されることが決定している。その過程で、清代および20世紀以後の学者たちの、謝霊運詩のある一字に対する解釈が検討すべき対象として浮上し、その解釈は詩全体に波及するので、これも本年度中に論文化する必要がある。また、謝霊運詩における仏教の影響の大きさがますます明らかとなり、研究分担者である中国仏教思想研究者の齋藤氏の協力が、さらに重要なものとなっている。仏教的文脈で読むのと儒教的文脈で読むのとでは、一首の詩の相貌が変わることが分かり、これについても論文を構想中である。 研究計画を変更する必要性は、今のところ認められない。研究を遂行する上での課題もとくに見当たらず、対応策の検討には迫られていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.本年度は、国内での学会が国際的なものだったので、国外学会に出張する必要がなく、旅費が次年度使用額に回った。 2.論文や論文要旨を中国語に翻訳する際の謝金を予定していたが、自作の中国語文章を、編纂者や原作者が無報酬で直してくれたために、謝金が次年度使用額に回った。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度多忙のため選んでいる余裕がなくて買いそびれたノートパソコンを、購入する。中国古典文學語学関係図書、中国思想宗教関係図書を購入する。学会参加や資料調査の旅費に使用する。論文やその要旨を中国語にする際、翻訳者や校閲者を雇い、その謝金に使用する。
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